2. 第2回自然環境保全基礎調査大綱

 

2−1 目 的

 

自然環境保全法第5条に基づき、第2回自然環境保全基礎調査を53年度及び54年度の2ケ年間に全国一斉に実施し、わが国における自然環境の現況を把握するとともに、その集計解析を行い、全国的な自然環境の保全の施策を推進するための基礎資料とする。

このため、植生、野生動物、陸水域の自然環境、海域の自然環境、海岸等の現況を把握するための調査を実施する。

 

2−2 調査内容

 

調査内容は次のとおりとする。

1. 植生調査

わが国における植生の現況を把握するため、全国の約1/2の地域において植生調査を実施し、縮尺5万分の1の現存植生図を作成する。

2. 特定植物群落調査

わが国における重要な植物群落の生育地の調査を行う。

3. 動物分布調査

わが国に生息する動物の生息状況を把握するため、動物の分布域について調査する。

(1) 哺乳類

シカ、クマ、ヒグマ、イノシシ、ニホンザル、キツネ、タヌキ、アナグマ、の生息状況について調査する。

(2) 鳥類

わが国に生息する鳥類の繁殖状況を調査し、繁殖分布図を作成する。

(3) 両生類・は虫類

わが国に生息する両生類・は虫類のうちで、絶滅のおそれのある種、学術上重要な種、産卵場所の保護を必要とする種等の生息状況を調査する。

(4) 淡水魚類

わが国に生息する魚類のうちで、絶滅のおそれのある種、学術上重要な種、等の生息状況を調査する。

(5) 昆虫類

環境庁の指定する昆虫10種(指標昆虫類)及び都道府県ごとに50〜100種の重要な昆虫(特定昆虫類)について、生息状況を調査する。

4. 表土改変状況

関東地方において、生態系の基盤である表土について、その現状と戦後30年間における変化を把握する。

5. 湖沼調査

天然湖沼の湖岸の変質状況、透明度等を調査する。また、代表的な61湖沼における魚類等の生息状況を調査する。

6. 河川調査

河川の生物の生息状況及び生息環境を把握するため、全国一級水系(109水系)の本流における魚類等の生息状況及び河岸等の改変状況を調査するほか原生流域の摘出を行う。

7. 海岸調査

海岸(汀線)及び海岸陸域の自然状態等を調査し、わが国における海岸の現況を把握する。

8. 干潟、藻場、サンゴ礁分布調査

魚類等の重要な産卵場所であり、稚魚等の生育場所である干潟、藻場、サンゴ礁のわが国における分布状況を調査する。

9. 海域環境調査

生物の生息状況からみたわが国の沿岸域の現状を把握するため、プランクトン、底生生物、付着生物等について調査する。

10. 海域生物調査

わが国の海岸域における生物の生息状況及び生息環境を把握するため、各都道府県2ケ所の調査ステーションを設け、潮上帯(飛沫帯)及び潮間帯に生息する生物を調査する。

 

2−3 調 査 方 法

1. 環境庁は調査の企画、立案、取りまとめを行う。中央に学識経験者よりなる自然環境保全基礎調査検討会を設け、調査項目、調査方法、集計解析方法などの検討を行う。

2. 調査は、国の委託により都道府県が主体となって市町村、地方の学識経験者の協力参加を求めて実施する。

また、一部の調査については、民間団体に委託する。

都道府県における作業機関は原則として下記の中から選定するものとする。

(1) 都道府県の関係部課等及び試験研究調査機関

(2) 市町村の関係部課等及び試験研究調査機関

(3) 関係大学及び研究機関

(4) 国の試験研究調査機関

(5) その他の試験研究調査機関

3. 環境庁は、都道府県の作成した資料で必要のあるものについては、集計整理及び解析の作業を民間コンサルタント等に委託する。

 

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