485 ホ シ ガ ラ ス

 カケスとほぼ同大の鳥で、体はカラスに比べはるかに小さい。全身ほぼ黒褐色で、頭頂部・翼・尾の部分以外には白色の縦斑がたくさんある。尾の先端と下尾筒は白く、飛翔中には特に目立つ。飛翔する形はカラスに似ている。しわがれた声でガーガーと鳴く。亜高山帯から高山帯に生息し、針葉樹林を好む。ハイマツやコメツガなどの種子を好んで食べるが、登山者の残した残飯なども食べる。冬期はやや標高の低い地方に移動する個体があるが、低山帯や平地まで漂行することはまれである。ハイマツの種子などを一定の場所へ貯蔵する習性を持ち、食物の少い時期に取り出して食べる。繁殖生態はまだ不明の点もあるが、3月下旬頃から樹上にダケカンバの小枝などを運び営巣を始め、巣の中にはサルオガセなどを敷く。4月頃普通3個の斑点のある淡青色の卵を産む。ユーラシア大陸の山岳部に、広く分布している。

 生息する環境の条件が、ほとんど亜高山帯上部の針葉樹林に限られているため、記録されたメッシュは少い。繁殖確認が少いのは、標高の高い山に繁殖するため、現地調査が当日の気象条件などにより大きく左右されるためと、囀りがないことによると考えられる。生息については、北海道から本州・四国・九州まで見られた。分布の南限である九州からは、従来繁殖の確認はないが、今後の調査によってその可能性は強いと思われる。四国では、すでに繁殖記録があるが、今回の調査では中部の山岳地で生息が認められたに留まった。紀伊半島部には、割合に高い山があるが生息の記録はねかった。本州中部から北部には、ほぼ高い山の分布に従って本種の分布メッシュがあるが、当然生息または繁殖が確認されると考えられるメッシュが空白になっている場所が少くない。例えば、中央アルプス・南アルプス方面・奥秩父から群馬県北西部・朝日・飯豊山地などである。北海道では、大雪山系と夕張山地・日高山脈・斜里岳などで生息が確認された。これまでに九州沖島と伊豆諸島の大島に生息が記録されているが、今回は全国の島嶼部では全く生息が確認されなかった。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

4

13

79

96

構 成 比(%)

4.2

13.5

82.3

100.0

 

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