483 オ   ナ   ガ

 尾の長い美しい鳥で、体はカケスより小さいが尾が長い分だけ、全長では大きくなっている。体は灰褐色で頭部は黒く、喉から下面にかけて淡色である。風切羽と尾は淡青色で、尾の先端部は白い。ギューイ、キュイッ、キュイッ、キュイッと連続して鳴く。平地から山地にかけての樹上で繁殖し、5〜8月に枯枝などでサラ形の巣を作り、内部には獣毛などを敷く。小斑点のある淡緑色の卵を7〜8個産卵する。市街地や、人家近くにも多い。繁殖期以外は群を作って生活するが、冬期もあまり移動しない。昆虫類からカキなどの果実まで食べ、餌台もよく利用する。局地的な鳥で、日本には本州東郁の限られた範囲にしか生息しない。また世界的に見ても、ヨーロッパのイベリア半島と日本を含む極東地方のみに離れて分布している珍しい種である。しかし、分布する地域では決して少い鳥でなく、東京など都会の住宅地でも普通に見られる。

 調査の結果は、分布の局地性を十分に現している。生息あるいは繁殖は青森県が北限であり、南限は房総半島、また、西限は福井県であった。分布の中心は関東地方で、繁殖確認のメッシュ数もかなり多い。中部北陸地方方面にも見られ、福井から岐阜県北部・長野県中部・山梨県西部・静岡県東部にかけてが、分布の西南の境界として現れた。東北地方では分布がやや東側に片寄り、秋田県では生息が確認されなかった。青森県では繁殖の確認はされなかったが、生息が確認された。オナガは、他のカラス科の鳥同様典型的なさえずりがないため、BランクにならずCランク記録になりやすい鳥であるが、あまり移動性のない鳥であるため、Cランクのメッシュにおいてもほぼ繁殖していると考えてよいと考えられる。このため青森県においても、繁殖の可能性は高いとみてよいであろう。下北半島付近などは、以前はオナガの見られなかった地域であるが、最近になって生息するようになった。岩手県以南では、太平洋側を中心に繁殖確認メッシュが分布し、関東平野へ続いている。日本海側では、山形県の庄内平野に生息し、新潟県ではかなり繁殖確認のメッシュが現われて長野県方面へ連なっている。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

114

79

205

398

構 成 比(%)

28.6

19.8

51.5

100.0

 

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