482 ル リ カ ケ ス

 背と腹が暗赤栗色で、頭、翼、尾などは光沢のある暗るり色をし、尾端に白色部のあるカケスより少し大きいカケス属の鳥である。日本特産種で分布は極めて局限されており、奄美諸島の奄美大島と徳之島のみが生息地として知られているが、一説には徳之島には分布しないといわれ、事実、徳之島における確実な記録はなく、分布地については詳しい再調査を行なう必要がある。留鳥で、イタジイ、イスノキ、ユス、イヌグスなどからなる亜熱帯性常緑広葉樹林に主として生息するが、海岸地帯や谷間に点在する村落周辺の農耕地にも出現することが多い。個体数も比較的多く、採餌もよく地上で行なうが、警戒心は強い。繁殖期には、番で生活しているが、非繁殖期には数羽から30羽程の群れを形成することも多い。産卵期は2〜5月であり、一腹の卵数は3〜7個で、普通4個のものが多い。営巣環境はかなり巾広く、イタジイ、カシ、タブなどの亜熱帯性常緑広葉樹林のなかの高木の樹洞や樹幹の間隙を主として、岩の間隙、山間の建造物の天井裏などに及び、広葉樹の小枝、樹皮、蘚苔類、ヘゴノキやシュロの繊維、細根、禾本科植物の葉、茎などを利用して椀型の巣をつくる。巣の大きさは樹洞の大きさによって異なっているが、普通は外径20〜30cm、内径11〜15cm、深さ6〜9cm、高さ9〜11cmである。

 今回の調査では、奄美諸島において、1サブメッシュで繁殖の可能性が記録されたほか、6サブメッシュで生息を確認したが、繁殖を確認するには至らなかった。従来の知見とあわせてみると、おそらく奄美大島では全島全域に広く分布・繁殖しているものと考えられる。しかし、近年の亜熱帯性常緑広葉樹林の伐採にともなって、繁殖地域も次第に狭ばっており、生息個体数も減少していると思われる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

0

1

6

7

構 成 比(%)

0.0

14.3

85.7

100.0

 

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