481 カ   ケ   ス

 ほぼハト程度の大きさの鳥。背及び下面は淡褐色で、喉・腰は白色で尾は黒い。頭部は白と黒のゴマ塩模様、黒色の短い顎線がある。翼は、風切羽が黒く次列風切の一部に白色の目立つ斑がある。雨覆は美しい青色である。飛翔中は腰の白とやや長目の黒い尾、翼のパターンが目立ち、他種と見誤まる心配のない鳥である。また北海道産のものは、本州以南のものと色彩が異り、頭部が白色を欠き全体に赤褐色で、亜種ミヤマカケスとされている。ジェーイッ、ジェーイッ、としゃがれた声で鳴くが、しばしば他の鳥の鳴き声を真似ることがある。低山帯から亜高山帯にかけての森林中に生息し、その個体数は多い。冬期は小群となり、平地などやや低い標高の温暖な地域へ漂行する。森林の樹上に営巣し、4〜6月にサラ形の巣を造り、斑点のある灰緑色の卵を5〜6個産卵する。昆虫などの小動物から、ブナ科植物の種子などまで、あらゆる種類の食物を食べる。日本の他、ユーラシア大陸の北部に広く分布し、多くの亜種に分けられている。

 今回の調査で北海道から屋久島まで広く生息が確認された。しかし、Aランク及びBランクは全般に少く、生息が認められたメッシュの大部分が、Cランクという結果になった。この原因には、本種が山地の森林中の樹上に営巣するため、巣の発見が困難なためと、囀りを行わない事の二つが考えられる。そのため記録の上はCランクとなるメッシュが多く出たものであろう。実際には、このCランクのメッシュのほとんどで繁殖していると考えてよいものと思われる。繁殖または生息の分布は、本州・四国・九州にかけて、ほぼ平均して認められ、海岸沿いの平野部で生息しないメッシュがみられるが、内陸部ではほとんどのメッシュで確認されている。また、屋久島・対馬・佐渡でも確認された。かなり普通の鳥と言うことができよう。北海道では本州以南の地方に比較するとかなり少い。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

120

255

1,102

1,477

構 成 比(%)

8.1

17.3

74.6

100.0

 

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