469 ウ       ソ

 頭上、翼、尾は黒色で、♂は頬と喉が薔薇色である。背面および下面は灰青色で、腰は白い。♀は頬と喉に赤味はなく、全体に褐色味を帯びている。北海道、本州中部以北の山地で繁殖し、北海道、礼文島、利尻島、本州、佐渡、隠岐、四国、九州、対馬、伊豆諸島(大島、神津島、八丈島)などで越冬する。夏期は亜高山帯のシラビソ、コメツガなどの針葉樹林やダケカンバなどとの混交林に生息する。冬期は山麓や平地に漂行する。繁殖期には番で生活するが、秋期から冬期にかけては小群をなし、あまり人を恐れない。亜高山帯の針葉樹林などの樹枝上に営巣する。巣は地上1〜3mぐらいの高さにあり、枯枝、枯蔓、蘚類などを主材とし、内部に獣毛、羽毛、細根などを敷く。産卵期は5月から7月ごろまでで、この間に2度繁殖する。1巣は卵数は4〜6個で、卵は緑青色の地に暗紫褐色、褐色などの小斑が鈍端付近に散在する。雛は2週間足らずで孵化し、更に2週間前後で巣立つ。北海道、本州中部以北の亜高山帯で繁殖するが、北になるほど繁殖地の標高は低くなる傾向にある。

 今回の調査でも本州中部山岳地帯を主として、これより北部に繁殖地が散在していた。地域別に見ると、北海道では石狩山地から日高山脈にかけての山地で繁殖確認、あるいは繁殖の可能性ありとされているほか、東部などでは平地でも繁殖の可能性があるとされている。一方、北海道南部では繁殖は見られない。利尻島では繁殖の可能性があるとされているが、従来利尻岳で繁殖しているのは、日本では主に冬鳥である別亜種のアカウソと見られている。本州では中部山岳地帯の北アルプス、八ケ岳周辺などを主な繁殖地とし、日光、蔵王、八幡平などの周辺地域でも繁殖の可能性があるとされている。これらは亜高山帯あるいは亜高山帯類似の植生をもつ地域であるが、青森県下北半島、津軽半島、山形県鶴岡市付近などに見られるBランクは平地または山麓で繁殖地は標高としてはきわめて低い。四国、九州では従来繁殖例はないが、今回それぞれ繁殖の可能性ありとされる報告があった。これらのうち四国の笹ケ峰付近、九州の釈迦ケ岳付近と祖母山付近の3ケ所は低山帯上部から亜高山帯下部にかけての地域にあたる。いずれも今後の精査が必要とされる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

8

108

56

172

構 成 比(%)

4.7

62.8

32.5

100.0

 

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