458 マ   ヒ   ワ

 緑色がかった黄色の小鳥。♂は頭部が黒色で、背面は緑黄色で黒色の縦斑がある。翼には黄色の翼帯が2本でる。♀は頭部の黒色を欠き、全体に淡色である。

 北海道などで少数繁殖し、本州以南では主に冬鳥である。北海道、本州、佐渡、隠岐、四国、九州、対馬、屋久島、伊豆諸島(大島、八丈、鳥島)、小笠原群島(聟島、父島、母島)、火山列島(北硫黄島)、沖縄島、宮古島、石垣島、西表島、与那国島に分布し、本州には10月上旬に渡来し、5月上旬ごろまで留まる。渡来した頃には亜高山帯のシラビソ、コメツガなどの森林に多く、次第に山を下って山麓のカラマツ林、雑木林などに生息するようになる。夏期北海道では大雪山の亜高山帯下部に少数生息し、繁殖する。また本州の亜高山帯にも夏期生息するものがある。亜高山帯の針葉樹林中の地上1〜2.5mぐらいの高さの樹枝上に営巣する。巣は枝端近くにあることが多く、枯枝、サルオガセを主材とし、内部に蘚類、獣毛、羽毛などを敷く。1巣の卵数は3〜6個であるが、6個のことはまれである。卵は淡青色、青白色の地に淡赤褐色の斑点や条斑が散在する。雛は抱卵後2週間足らずで孵化し、更に2週間前後で巣立つ。

 これまでに繁殖が確認されているのは北海道だけで、本州でも繁殖するらしいとされてはいるものの確認はされていない。今回の調査でも繁殖が確認されたのは、北海道の知床半島で落石岬付近の2ケ所だけである。繁殖の可能性があるとされたのは、北海道十勝岳の南方の地域、青森県八甲田山南部、岩手県北上付近、岩手県干厩付近、鳥取県大山付近の7サブメッシュである。これらの地域は亜高山帯下部および低山帯で、これまでに夏期の生息が知られていた地域よりも低いところでの生息確認となっている。本州で繁殖の可能性があるとされたうち、1ケ所は伯耆大山で囀りが記録されたものである。これは本種の夏期の記録としてはかなり南へ下ったものである。この調査では本州中部の山地では生息も確認されず、結局本州での繁殖確認は見送られた。本種の主な繁殖地は大陸であるが、ここでも局地的に繁殖し、年によって繁殖地が変わるということが見られる。このため日本でも繁殖地は固定しないと思われる。繁殖地図は夏期、生息し繁殖するものがきわめて少ないことを示している。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

2

7

13

22

構 成 比(%)

9.1

31.8

59.1

100.0

 

繁殖分布地図索引へ