457 カ ワ ラ ヒ ワ

 緑褐色の小鳥。飛翔時翼の帯広い黄色帯がよく目立つ。♀は♂よりも褐色味が強く、全体に淡色である。主に留鳥として周年生息するが、雪の多い地方や山地では夏鳥で冬期は温暖な地方に漂行する。北海道、本州、粟島、佐渡、四国、九州、対馬、五島列島、伊豆諸島(大島、利島、新島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ケ島)に亜種のコカワラヒワが、また別亜種のオガサワラカワラヒワが小笠原群島(聟島、媒島、父島、母島、向島)、火山列島(北硫黄島、硫黄島)に生息する。このほか亜種のオオカワラヒワが冬鳥として渡来する。平地から低山帯下部にかけての耕地、村落付近の林、雑木林などに生息する。全国にきわめて普通である。繁殖期には番で生活し、その後は小群をなしている。冬期には大群をなすことが多い。市街地、村落、道路付近などの林や独立樹などに営巣し、巣は地上3〜7mぐらいの高さの樹枝上にある。細根、樹皮、綿屑、紙屑、枯葉、獣毛などを主材とし、内部に獣毛、羽毛、細根などを敷いた巣をつくる。産卵期は3月下旬から7月上旬ぐらいまでであるが、まれには8月になっても産卵する。1巣の卵数は3〜5個で、4個のことが多い。卵は淡緑青色、青白色の地に、灰青色、紫褐色、黒褐色などの小斑や条斑が散在する。斑点は鈍端付近に多い。雛は抱卵後11〜13日ぐらいで孵化し、更に2週間ほどで巣立つ。

 今回調査のされなかった伊豆諸島、小笠原群島、火山列島などを除くと、おおむねこれまでに確認されている通りの繁殖地図となっている。これまで繁殖がみとめられていなかった地域のうち礼文島、利尻島、隠岐、壱岐、五島列島、甑列島などで、それぞれ繁殖の可能性があると記録された。また、粟島、屋久島にはCランクがマークされており、繁殖期の生息が確認されている。今回調査されなかった小笠原群島、火山列島に留鳥として生息するオガサワラカワラヒワは生息数が少なく、とくに火山列島での生息状況は現在不明である。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

235

1,066

534

1,835

構 成 比(%)

12.8

58.1

29.1

100.0

 

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