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 ほぼスズメ大。頭部は濃灰緑色で、嘴の周囲は黒色である。背面は暗緑褐色で、下面は淡緑黄色である。脇に黒褐色の縦斑がある。♀は♂に較べ全体に淡色で、嘴の周囲の黒色を欠く。北海道、礼文島、利尻島では夏鳥として繁殖し、本州では漂鳥、また冬鳥、旅鳥として佐渡、四国、九州、対馬、五島列島、屋久島、種子島、伊豆諸島(大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、八丈島)、奄美大島、徳之島、与論島、沖縄島、伊平屋島、座間味島、竹富島、与那国島などに渡来する。夏期北海道では海岸、平地の草原、灌木林、耕地などから亜高山帯のダケカンバなどの落葉広葉樹の疎林に至るまで各地に生息する。本州では主に中部以北の標高700mぐらいから1,600mぐらいの灌木林、草原、カラマツの疎林、クマザサの薮などに生息する。冬期には本州以南の標高200mぐらいから下の平地の灌木林、竹薮、雑木林などに生息する。全国に数多く生息する。繁殖期には番で生活し明るい林に多いが、冬期には群生し、主として薄暗い竹薮のなかなどで生活する。草原や灌木林などの地上または地上から1.5mぐらいまでの高さの樹枝上に営巣する。巣は枯草、細根、枯葉などを主材とし、内部に馬毛、枯葉などを敷いたものである。産卵期は5月上旬から8月上旬までで、1巣の卵数は3〜7個である。卵は灰白色、青白色などの地に、紫褐色、灰褐色などの雲形の斑が散在する。

 本種は夏期北海道に極めて多く生息し、繁殖している。また礼文島、利尻島でも繁殖の可能性があるとされている。本州では東北地方、中部山地で主に繁殖している。なかでも青森県下北半島から岩手県北部、長野県付近、富士山周辺に広く繁殖が確認された。この繁殖地図は、本州中部以北についてこれまでの繁殖分布をほぼ確認するものとなっている。ただ、本州での繁殖地は青森県六ケ所村付近など平地のものも見られ、本州北部では北海道と同様に、低地でも繁殖が見られるようである。本州西南部では、夏期ほとんど生息が見られず、唯一兵庫県氷ノ山での繁殖が知られている。氷ノ山においては、今回の調査でも繁殖が確認されている。このほか、鳥取県大山付近など数ケ所で繁殖の可能性があるとされ、これらの記録は、数は多くないものの繁殖期に本州西南部に生息するものがあることを示しており、今後氷ノ山のように繁殖が確認されることはじゅうぶん考えられる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

132

561

93

786

構 成 比(%)

16.8

71.4

11.8

100.0

 

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