446 ノ   ジ   コ

 スズメより小さく、頭部および背面は灰緑色で、背面には黒褐色の斑点がある。眼のまわりに細い白色の輪がある。下面は淡黄褐色である。本州中部の低山帯で繁殖し、冬鳥として本州の平地、九州に渡来するとされる。対馬、壱岐、屋久島、伊豆諸島(御蔵島)でも渡来の記録がある。また、北海道に渡った記録もあるようである。夏期本州中部の標高400mぐらいから標高800mぐらいまでの灌木林、草原、雑木林、カラマツ林などに生息するが、生息数は多くない。やぶのなかにいることが多く目立ちにくい。繁殖期には番で生活するが、渡りの時期には小群をなしていることが多い。冬期は温暖な地方に渡り越冬する。主な越冬地は、台湾、フィリピン諸島、中国大陸南部などで、国内での越冬は確認されてはいない。低山帯の灌木林やカラマツ林の地上から2mぐらいまでの高さの樹枝上に営巣する。巣は枯草や細根、枯蔓、枯葉などを主材として椀の形をつくり、内部に細根、馬毛、細茎、リゾモルファーなどを敷く。産卵期は5月中旬から7月上旬ぐらいまでである。1巣の卵数は3〜5個で、4個であることがもっとも多い。卵は青みがかった灰白色の地に、灰褐色、黒褐色の小斑や雲形、曲線形などの斑が散在する。

 本種は本州で繁殖が確認されている以外、確実な繁殖記録はない。北海道においても繁殖したという情報はあるが、確認されたものではない。本州における繁殖も局地的であり、これまでに青森、福島、神奈川、山梨、静岡、長野、新潟などでの繁殖が知られているだけである。今回の調査によって、繁殖は本州中部以北に集中していることが確かめられた。なお、繁殖が確認されたのは、新潟南部から長野、富士山周辺の地域に限られたものの、繁殖の可能性があるとされたのは東北全県および北陸地方に至る、かなり広い地域となっている。生息数が少ないため、これまで観察されなかった地域もあったようである。本州西南部では、若狭湾沿岸付近にCランクが1例記されたほか、兵庫県松岡町で繁殖が確認されている。本州西南部における繁殖はきわめてまれである。このほか今回の調査では大分県緒方町で囀っている1個体が記録された。九州での繁殖は知られておらず、繁殖南限の新記録が今後の調査に期待される。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

15

126

12

153

構 成 比(%)

9.8

82.4

7.8

100.0

 

繁殖分布地図索引へ