422 エ   ナ   ガ

 白と黒のまだらの小さな鳥で、長い尾が特徴。黒色の眉斑があり、背は灰黒色でブドウ色が混ざる。下面全体は白色である。本種は、本州、佐渡、隠岐に一年中生息する。また、亜種のシマエナガが、北海道、本州北部に、チョウセンエナガが対馬に、キュウシュウエナガが四国、九州にそれぞれ留鳥として一年中生息する。地図上の繁殖地は、これら亜種も含めたものである。亜高山帯下部、低山帯、平地に普通で、標高500mから1,000mぐらいに最も多い。落葉広葉樹林、カラマツ林、アカマツ林、雑木林、スギ、ヒノキなどの人工造林、灌木林などに生息し、都会近郊の丘陵や山地の雑木林、灌木林にも生息する。冬期は平地に漂行するものが多い。繁殖期には番で生活するが、他の時期には5羽から15羽程度の家族群をなし、また他のカラ類と混群をなすこともある。樹上生活が主で、樹梢から樹梢へまたは灌木から灌木へと飛び移りながら活発に活動する。平地から亜高山帯下部の林に営巣し、地上0.5〜10mぐらいの高さの灌木の茂みや喬木の枝間に長楕円形の巣を造る。巣は苔類を主材とし、内部に多量の羽毛を敷き、外部はウメノキゴケをクモの糸で付着させたものである。産卵期は4月から6月ごろまでで1巣の卵数は7〜12個である。卵は白地の地に淡紫色と淡赤褐色の微小斑が散在し、特に鈍端付近に密在する。

 地図上の繁殖および繁殖可能性を示す点は、全国にほぼ一様に散らばっている。わずかに本州中部以西の方が本州中部以北よりも生息が確認された地域が多い傾向が見られる。本種は、日本からユーラシア大陸を横断してヨーロッパに至る広汎な分布域を有しており、環境に対する適応力は強いものがあると思われる。細分された亜種からもわかるように、本種の移動は限られた範囲にとどまる。これは、群れとしてテリトリーを保有するといった独特の性質をもっているためであろう。今回の調査でB・Cランクだった地域では、今後繁殖が確認される可能性は極めて大きいものと思われる。その一方、マークされた地域が今後の調査で大きく変わることは、上記の性質からは考えにくい。これらの点が、今後の調査でどうなるのか注目されるところである。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

226

390

618

1,234

構 成 比(%)

18.3

31.6

50.1

100.0

 

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