421 サンコウチョウ

 ♂は頭部が紫黒色で羽冠があり、背は赤紫色で著しく長く黒い尾をもつ。♀は頭部が黒色で短かい羽冠があり、背は赤褐色である。どちらも腹は白色で、眼の周囲は青色である。若鳥の♂は、尾が長くない。夏鳥として4月下旬から5月下旬に日本に渡来し、8月下旬から9月下旬までのあいだ留まる。低山帯の落葉広葉樹の密林、スギ・ヒノキなどの人工造林、雑木林、市街地の神社や公園の林などに生息する。比較的薄暗い林に多い、番で生活し、強いテリトリー性を示す。ナラ、エゴノキ、ハンノキ、ミズキ、ホオノキ、ヒノキ、スギなどの周囲に葉のない小枝の叉の部分に営巣する。高さは地上1.5〜15mぐらいである。巣は、樹皮、羽毛、蘚類などを主材とし、クモの糸で固定した上にウメノキゴケを付着させたもので、逆円錐形をしている。産卵期は5月下旬から7月下旬で、1巣の卵数は4個のことが多い。卵は白色または淡薔薇色で、赤褐色、淡灰青色の小斑が散在するが、斑点の量は多くない。雛は産卵後12〜14日ぐらいで孵化し、更に8〜12日ぐらいで巣立つ。

 本種は本州・四国・九州・対馬・屋久島で繁殖するとされ、北海道では1887年と1893年に生息が確認されているだけである。九州以南には、同種に酷似し体が小型な亜種であるリュウキュウサンコウチョウが留鳥として生息し繁殖する。地図上の記録は同亜種も含めたものである。

 今回の調査でも、本州以南のほぼ全国で繁殖地が確認された。本州中部から東北南部にかけて繁殖確認又はその可能性ありと記録されたメッシュの密度が高く、九州西部と山陽地域においてその密度が低くなっている。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

74

407

45

526

構 成 比(%)

14.1

77.4

8.6

100.0

 

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