411 キクイタダキ

 メジロより小さい日本で最小の鳥である。体は淡オリーブ緑色で、腹は白っぽい。翼には2本の白線がある。目の周囲は白っぽいが、メジロほど顕著ではない。頭頂には黒線にふちどられた黄色の部分があり、♂ではさらにその中央に燈色があるが、これは、普段ほとんど見えず、ディスプレイの時には冠羽を開くので見える。チーまたはツーと細い声で地鳴きし、囀りはツチツチッチと続け、ヒガラに似ているが、さらに高く金属的である。北海道や本州の亜高山帯針葉樹林で繁殖する。冬期は低地に移動し、多くの場合カラ類と混群を作る。針葉樹の枝先で、昆虫やクモなどを主に捕え餌とする。6〜7月頃に針葉樹林中の枝先近くに営巣し、クモの糸を利用して、巣をハンモックのように枝にとりつける。巣はコケを主に使い、微少斑が環状にある汚白色の卵を5〜8個産む。冬期には、日本で繁殖した個体の他に、さらに北方の地域からも多数渡来すると考えられ、各地の針葉樹林中で生活する。日本の他、ユーラシア大陸の北部に広く分布し、冬期はやや南下する。

 今回の調査では、北海道・本州・四国で生息が確認された。北海道では、中央部の大雪山系に繁殖確認の大部分が集中した。それ以外では、北部の標高の低い地域で繁殖が確認されたことは注目に値する。知床半島・日高山脈南部・渡島半島では、生息確認のメッシュがなかった。また、Cランクではあるが、釧路から根室にかけての海岸沿岸地方で生息が認められたことは興味深い。

 本州では、各地の標高の高い山地に生息メッシュが散在しており、緯度が低くなるに従って出現するメッシュの標高が上がる傾向を見ることができる。主な分布の南限は、本州中部であるが、鳥取県の大山、四国の寒風山で、それぞれBランクが記録された。四国では、以前から繁殖が伝えられていたが、今回の調査でもそれを裏付ける結果となった。九州及び島嶼部では、その生息が全く確認されなかった。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

24

89

24

137

構 成 比(%)

17.5

65.0

17.5

100.0

 

繁殖分布地図索引へ