409 センダイムシクイ

 スズメより小さく、メジロよりやや大きい。体はほぼ全身淡オリーブ色で、やや褐色味もある。♂♀同色で白い眉斑があり、翼に目立つ白線は出ない。頭上に淡色の頭央線があり、他のムシクイ類と識別する場合のポイントとなる。姿を観察しただけでは他のムシクイ類と識別困難な場合も多いが、囀りは、この鳥独特のもので、非常に特徴がある。普通、チヨチヨビーと囀り、「焼酎一杯ぐいー」と聞くことができる。日本には夏鳥として渡来し、九州から北海道の山地で繁殖し、北海道では平地でもまれではない。森林性の鳥で、昆虫類を主食とし、木の葉先の昆虫やクモなどをよく捕る。落葉広葉樹林に生息し、亜高山帯より標高の低い山地を好み、他のムシクイ類と生息環境により棲み分けている。常に林の中で生活し、囀る場合でも目立つ場所に出てこない。そのために姿を見ることは割合難しく、囀りが聞こえない場合は、生息の確認が困難である。5〜6月に森林の地上に枯草などで側面に出入口のある球形の巣を作り、白色無斑の卵を5〜6個産卵する。ツツドリに托卵を受けることがある。日本を含む東北アジアで繁殖し、冬期はインドシナ半島などに渡る。春・秋の渡りの時期には、平野部でも多く見られ、その個体数は、他のムシクイ類より多く、春には囀っている個体がいる。

 今回の調査では、従来言われてきた通り、北海道から九州にかけての各地で生息・繁殖が確認された。北海道では極めて多くのメッシュで、繁殖確認または繁殖の可能性があると記録された。記録メッシュも平野部から山地まで及んでおり、ほぼ道内全域に繁殖分布している。しかし、利尻・礼文島方面では、記録されなかった。本州以南では記録メッシュが、ほとんど山地に限定されている。そのため、山岳地域の面積が多い本州中部では、北海道に匹敵する分布状態となった。その反面、関東地方などの平野部が多くの面積を占める地域では記録されないメッシュが集中した。また、日本での分布の南限に当る九州地方やその周辺では、生息・繁殖の確認されたメッシュの数が、幾分少なくなっている。島嶼部では、佐渡・粟島・隠岐・対馬・壱岐・沖ノ島などで生息が確認され、佐渡・対馬・壱岐では、Bランクがそれぞれあり、繁殖の可能性が強い。生息確認の南端は宮崎県の南部で、それ以南では、南西諸島を含め、記録されたメッシュは全くなかった。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

46

1,096

113

1,255

構 成 比(%)

3.7

87.3

9.0

100.0

 

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