398 オ オ セ ッ カ

 上面は赤褐色で、頭から肩にかけて幅の広い黒いたてじまがあり、下面は白く、淡褐色の眉斑をもったスズメより小さい鳥である。極東地域に分布し、日本と中国東北部に生息しているが、大陸における正確な分布地域は明らかではない。我国においては、本州北部の青森、宮城、秋田の各県で繁殖が知られている。冬期は山形、新潟、埼玉、東京、千葉、神奈川、静岡、愛知の各都県から生息確認の記録があり、関東・東海地方で越冬するとみられる。湿った草原に生息し、特にヒライ、ススキ、ケカモノハシ、ヨシなどの密生する湿原を好む。草本の密生した湿原の中の草本の地上近くに営巣し、草の葉や茎を折りまげた上に、枯草、枯葉で楕円形の巣をつくる。産座には草本の細根、細葉、羽毛、獣毛などを敷く。巣の出入口は斜め上方にある。繁殖期は6〜8月、1腹の卵数は5〜6卵である。八郎潟干拓地における調査(西田 1975)によれば、本種の繁殖生態は次のようである。繁殖地への渡来は5月であり、繁殖期は7〜8月であり、繁殖回数は年1回らしい。生息環境はヨシの群落の中で、枯ヨシやススキ、クサヨシ、チガヤ、イなどの混生する場所であり、巣は地上から平均10.5cmのところにあって、ヨシの中が最も多く粗雑な構造である。産卵は1日1卵行なわれ、1腹の卵数は5〜6卵、平均5.3卵であり、抱卵日数は平均11.3日、育雛日数は平均12.1日となっている。雛への給餌は♂♀とも行ない、雛の餌としてはメイガ類幼虫が高い比率を占めている。

 今回の調査では、東北地方北部のみで記録があった。すなわち、下北半島を主とする青森県東部、津軽半島を主とする青森県西部、また、日本海側でも繁殖が確認又はその可能性ありとの結果が得られた。これからみると、繁殖分布は東北地方北部に限られるものの、この地方では各地で繁殖しているといえるだろう。近年になって本種の繁殖地が発見されたことを考えれば、さらに新しい繁殖地が存在する可能性は充分あると思われる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

4

4

0

8

構 成 比(%)

50.0

50.0

0.0

100.0

 

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