387 ア カ ハ ラ

 全長235mmの大型ツグミ類。体の上面はオリーブ色を帯びた暗褐色である。♂成鳥では、喉が黒色を帯びる。胸から腹部にかけては赤褐色で、腹部中央は白い。平地から亜高山帯にかけての森林で繁殖する。雑木林、落葉広葉樹林やカラマツ林、アカマツ林などに生息する。冬期は平地や低山の林に移動し、市街地でも見られる。林の中の開けた樹上等で囀ることが多く、地上で餌を採っている姿もよく見うけられる。5〜7月、樹枝上や枝の叉などに営巣する。巣は、根、枯枝、枯茎、蘚類などを土で固めて椀形に作り、中には枯葉、リゾモルファーなどを敷く。青緑の地に褐色と淡紫色の大小の斑がある卵を3〜5個産卵する。ミミズを好んで捕食する他、昆虫や植物の実も好む。個体数は、高原のカラマツ林などにはかなり多いことが知られている。

 今回の調査では、四国から北海道までの地域で記録されたが、その分布には非常に大きな偏りが見られる。繁殖の確認のあったのは本州中部以北であった。四国、中国地方、紀伊半島では非常に記録が少ない。いずれの記録も繁殖の可能性ありのBランクであり、山地部での記録である。しかし、本種はこれまで本州中部以北に繁殖するとされており、これらは新たな記録である。今後これらの地域で繁殖が確認されることが期待される。本州中部地方では、静岡・山梨・長野・群馬の各県を中心とする中部山岳地帯に集中して分布している。しかし、山岳地帯に広く分布しているのではなく、偏りが見られる。この偏りは、本種の生息環境が山地の森林というより、高原のような開けた環境であるためと考えられる。富士山麓一帯・八ケ岳周辺・上高地一帯など、高原特有のカラマツ林や草地を有する地域に多いと思われる。東北地方においても、南部では高原を有する山地帯に多く分布する。北部の岩手県・青森県などでは、本州中部より高緯度のため、平地や低山帯がアカハラに適した環境となっているため、広く分布しているものと考えられる。北海道では、一部の低湿地等を除き、ほぼ全域に分布している。北海道の気象条件と林の環境が本種の生息に適しているためであろう。島嶼部では、礼文島で初の本種の繁殖の可能性が記録された。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

53

417

57

527

構 成 比(%)

10.1

79.1

10.8

100.0

 

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