386 ク ロ ツ グ ミ

 全長215mm。♂の頭から尾にかけての上面と喉から胸は黒色で腹部は白い。腹部の脇には黒斑が散在する。嘴と目の回り、脚は黄色。♀の上面は暗褐色で、喉から胸は赤褐色を帯び黒色の小斑がある。我国には夏鳥として九州以北の全国に渡来する。低山帯の山地で繁殖するが、北海道では平地の森林にも生息する。低山に多く生息し、雑木林、落葉広葉樹林、植林地などに広く分布する。アカハラより低山に生息する。4〜7月、樹枝上に営巣する。巣材には多量の苔を用い、根、茎、枯枝などを混ぜて椀形の巣を作る。内部にはリゾモルファー、細根などを敷き、緑青色又は淡赤褐色に、淡紫色、赤褐色の斑のある卵を3〜5個産卵する。昆虫類、ミミズやムカデなどの動物質の他、ノブドウやヤマザクラの実なども採餌する。見通しのいい枝などで囀ることはほとんどなく、葉陰で囀る。

 九州から北海道にかけて分布するが、生息地には偏りがみられ、本州中部から東北地方にかけて記録が集中している。九州では、主として山地帯に生息するが、記録は多くない。四国では、山地部を中心として分布しているが、山地に限らず、海岸に近い場所でも記録されている。中国地方では、瀬戸内海岸での記録は得られず、中央の山地から日本海岸にかけて分布している。紀伊半島では、山地や森林があるにもかかわらず、記録は少なかった。

 本州中部から関東地方にかけては、最も多く分布している地域である。ここでは、開発の進んだ平地部(名古屋一帯・富山平野・関東平野等)には分布していない他、太平洋側では、標高500メートル以下の低地にはほとんど分布していない。これに対し、日本海側では海岸近くの標高の低い所にも生息していることがわかる。ところが、東北地方ではこのような傾向は見られず、水田地帯などの平地部を除く地域の海岸近くから山地まで広く分布している。北海道では、道北と道東の一部を除いて、全道に広く分布している。島嶼部では、長崎県対馬、佐渡及び利尻島での記録が得られたが、いずれも繁殖の可能性ありのBランクであった。

 本種の分布は、関東地方以南では太平洋側の平地部を嫌う傾向があるようである。植生との関係等、今後の調査が期待される。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

81

597

72

750

構 成 比(%)

10.8

79.6

9.6

100.0

 

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