380 イ ソ ヒ ヨ ド リ

 全長255mm。♂は、頭から腰にかけて及び胸部は青灰色で腹部は栗色。翼と尾は黒褐色である。♀は全体暗褐色で、やや青色を帯びる。腹部には鱗状の斑がある。全国の海岸や島嶼に留鳥として生息する。北部に生息するものは、冬期南へ移動するものがある。岩の多い海岸に多く、繁殖期には番でなわばりを持って生活する。岩礁等の岩場の他、付近の松林、人家周辺にも生息する。♂は岩上、人家の屋根、電線や電柱などに止まり、澄んだ声でツツピーコーピー等と囀る。3〜6月、岩のすき間やコンクリート等の建築物の隙間、崖の洞中などに営巣する。枯草や細根で椀形の巣を作り、産座には細根を敷く。緑青色、又は緑青色の地に淡紫褐色の微小斑のある卵を5〜6個産卵する。岩礁や岩壁の他、砂地等地上で餌をとることが多い。甲虫類の幼虫、コオロギ、バッタの他にカニやトカゲなども捕える。

 今回の調査では、南は先島諸島、北は北海道北部まで全国各地の海岸部で記録されたが、北海道東部からは記録が得られなかった。本種は海岸の岩礁などに生息するため、我国の海岸部のうちでも砂浜などの環境のところではほとんど見られない。全国の海岸にほぼ平均的に分布するが、三陸海岸のような岩の多い所では連続的に見られる。北海道では、石狩湾までほぼ連続的に分布しているが、それ以外では北部の島嶼部及び襟裳岬西部で繁殖の可能性ありの記録があるのみである。今回の調査結果に現われていない繁殖分布としては、伊豆七島や対馬がある。

 本種はヨーロッパ(南部)から中央アジア、中国南部にも分布しているが、高緯度地方には生息していない。北海道北東部に少ないのは、気候的なことによることも考えられる。我国では、そのほとんどが海岸の岩礁のような岩場に生息しているが、ヨーロッパ等では海岸に限らず岩のある所に生息している。我国においても、時に海岸よりやや内陸に入った所で見かけることがある他、コンクリートの建造物などに営巣することがある。海を持たない長野県などでも、繁殖期以外の記録がある。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

83

116

36

235

構 成 比(%)

35.3

49.4

15.3

100.0

 

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