376 ノ ビ タ キ

 全長130mm。♂の夏羽は、頭部から背、翼、尾にかけて及び喉が黒色。胸部は赤褐色で腹部は淡色となる。頸側は白く、翼に白斑がある。♀は上面黒褐色で眉斑と喉は褐色味を帯びた白色。胸部は淡褐色で腹部は淡い。♂の冬羽は♀に似るが、やや赤味が強い。主に夏鳥として渡来し、草原に生息する。秋の渡りの頃には、平地の草地でも見られる。冬期はほとんどが南方へ渡去するが、少数の越冬記録もある。繁殖期は♂♀でなわばりを持って生活し、草の茎や低木の頂、電線などにとまって囀る。北海道の草原ではかなり多くの個体が生息しているが、本州で多数生息する所は少ない。5〜7月、草原の草の根元等に営巣する。枯草の茎、細根、蘚類などで椀形の巣を作り、淡緑青色の地に淡紫色及び淡赤褐色の小斑を有する卵を5〜7個産卵する。餌は主として昆虫類である。

 今回の調査では、中国地方北部から北海道にかけての地域で記録が得られた。このうち、繁殖が確認されたものは、兵庫県以東である。中国地方では、兵庫県の他鳥取県で繁殖の可能性ありの記録が得られた。中部地方では、富士山麓、長野県霧ケ峰周辺、尾瀬・日光一帯、妙高山等を中心とした地域で繁殖確実の結果が得られた。東北地方では、岩手県と青森県竜飛崎のみである。北海道では全域に広く分布しており、繁殖確認例も多い。

 本種は代表的な草原の鳥であり、その生息地は草原の分布によって左右される。本州では、霧ケ峰のような高原や、山腹の草原に多く、イネ科植物の多い草地を好む。本州でこのような環境を持つ山地は少なく、限られた所にしか生息していない。北海道では高原に限らず平地に多い鳥である。北海道では本州に比べ草原が発達しており、本種の好適な繁殖地となっている。高山、森林、市街地などを除いた地域の草原に最も普通に見られる鳥である。

 本種の繁殖分布は、これまで本州中部以北とされていたが、本調査の結果により、中国地方でも繁殖することが明らかとなった。なお、本州では近年高原の荒廃に伴い、次第に減少している種であり、今後この種の維持をはかる何らかの保護策が必要となろう。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

103

97

30

230

構 成 比(%)

44.8

42.2

13.0

100.0

 

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