374 ル リ ビ タ キ

 全長145mm。成長した♂は、上面が明るい青色をし、喉は白色、腹部は汚白色。腹部脇は橙黄色である。♀と♂の若鳥は、上面緑褐色で、脇は橙黄色。上尾筒から尾は青色をおび、腹部は汚白色である。夏期、四国、本州、北海道の亜高山針葉樹林(北海道では平地にも分布)で繁殖し、冬期は低地の暗い森林に漂行する。6〜8月、地上の崖地や、倒木のかげ等に苔や落葉で椀形の巣を作り、白色に淡い紫や褐色の斑のある卵を3〜6個産卵する。ツツドリやジュウイチに托卵されることがある。繁殖期、♂は林内の小枝でヒョロヒョロヒョロリと聞こえる声で鳴く。餌としては、昆虫類が多く、他に植物の実を好む。本種の生息環境は、主として針葉樹のよく茂った暗い林である。本州では標高1,500メートル以上のシラビソやオオシラビソ、コメツガの森林には、かなりの個体が生息しているようである。これらの原生林では、密生し、樹冠が重なる為林内は暗く気温は低い。林床にはあまり下草が茂らず、長い年月によって堆積した苔の層がある。北海道では、シラビソやオオシラビソの代わりにエゾマツ、トドマツ、アカエゾマツなどが生育している。北海道ではこれらの林が平地にも見られる。これは、根釧地方のように、海霧によって夏の気温が低温になることにもよる。北海道の平地でも本種が生息するのは、このような低温で暗い針葉樹林の分布によるものであろう。本種の分布は、我国の亜高山針葉樹林の分布とよく一致している。

 今回の調査では、九州を除き北海道までの各地で記録された。確実な繁殖記録は、四国以北で18サブメッシュあった。四国では、剣山周辺で繁殖の記録が得られた他、石鎚山付近で記録されている。いずれも2,000メートル近い亜高山帯である。中国地方では、鳥取県の大山周辺で、繁殖の可能性の記録がある。紀伊半島では、中央部の標高1,600〜1,900メートルの山岳部で、繁殖が確認された。中部山岳地帯では、亜高山帯の山域に広く分布している。東北地方では記録が少なく、岩手県早池峰山で繁殖確認の記録が得られた他、数ケ所で記録されているにすぎない。北海道では、大雪山、日高山脈、斜里岳周辺の山地に分布する他、道北部での記録がある。北海道での生息地は、本州よりも標高が低く、1,000メートル位の山地での記録が多いようである。今回の調査には現われていないが、根室地方の平地に発達した森林には本種が繁殖することが知られている。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

18

128

10

156

構 成 比(%)

11.5

82.1

6.4

100.0

 

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