364 ミ ソ サ ザ イ

 体は極めて小さく、日本ではキクイタダキに次いで最小の部類に入る。体は太りぎみで脚が割合長く尾が短い。その尾を上に立てていることが多い。全身茶褐色で、黒く細い横じまが密にある。淡色の眉斑を持ち、下面の色彩は心持ち淡い。♂♀同色である。地鳴きはウグイスによく似たチャッ・チャッであるが、やや高い声である。囀りは、チリリリリ・ピールルルルなどと複雑で高く、よく響く声である。ほぼ全国の山地に生息し、渓流沿いの湿った場所を好み、亜高山帯などを持つやや高い山に多いが、低山にも見られる。普段は地上付近のやぶの中などに潜行し、目立たない鳥であるが、繁殖期の♂は木の枝や岩の上などの目立つ所をソングポストに使うため、よく見られる。5〜8月頃、沢沿いの崖・木の根本・まれに人家の軒などにコケ類を主として球形で横に出入口のある巣を作り、4〜6個の白色の卵を産卵する。昆虫類やクモなどを主食とし、植物質はあまり食べない。冬期は、やや低い山地へ漂行するが、平地の林などには来ない。夏期同様、薄暗い沢沿いなどによく見られる。日本の他、ヨーロッパ・アジア・北アメリカなどに広く分布する。

 今回の調査の結果、北海道から屋久島までの各地で生息または繁殖が確認された。北海道では、宗谷岬から襟裳岬を結ぶ線上の山地に、A・Bランクが集中して分布している。また、阿寒国立公園から知床半島にかけての山地にも分布の集中が見られる。北海道東部では、釧路から根室・尾岱沼などの海岸沿いの割合に平坦で標高の比較的低い地域にも分布している。道南部では生息するメッシュは少なく、支笏・洞爺国立公園から積丹半島にかけての山地では、全く生息が認められていない。利尻島ではBランクの記録があったが、繁殖確認には至らなかった。

 本州以南では、ほぼ山地帯に沿って生息するメッシュの分布が見られるが、中国地方西部から九州にかけては、生息メッシュ数が若干少なくなっている。対馬には繁殖しているとされているが、今回の調査では確認されなかった。分布の南限では、かつて大東諸島に繁殖分布していたが、現在では見られないようであるが、今回は未調査なので何とも言えない。調査した地域での分布の南限は屋久島であった。種子島とともに繁殖の記録があるが、今回は屋久島でのみ、繁殖の可能性が報告されたに留まった。この他、伊豆諸島にも繁殖している。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

80

545

47

672

構 成 比(%)

11.9

81.1

7.0

100.0

 

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