356 チ ゴ モ ズ

 モズより若干小さい。体形はモズに似る。頭部は青灰色で、下面は白く、背面褐色の美しい鳥である。過眼線は黒く目立つが眉斑はない。背面は一様に虎斑模様がある。♀ではわきに黒褐色の斑がある。翼に白斑は出ない。色彩以外の形態や習性などはモズに似る。ギュン、ギュン、ギチギチギチとモズに似た声で鳴く。夏鳥として5月中旬ごろ渡来し、繁殖する。本州中部から北部の平地、低山、高原などの林縁部や松林などに好んで生息する。しかし生息する地域は局地的で、あまり多い鳥ではない。アカマツなどのやや高い樹上や低木の繁みなどに6〜7月ごろ営巣する。小斑点の散在する淡青色の卵を3〜6個産卵する。春や秋の渡りの時期でも西日本方面ではあまり観察されず、日本で繁殖する個体数は全体でもあまり多くないと思われる。日本を含む東北アジアで繁殖し、冬期は東南アジアに渡る。

 繁殖地図調査の結果は、青森県から本州中部迄が主要な生息地と認められたが、分布は極めて局地的で、生息する地方としない地方との差が大きい。北海道には、かって焼尻島からの1例が報告されているが、今回は全く記録されなかった。東北地方では太平洋側に生息するメッシュがやや多い。関東地方では群馬県や茨城県では全く生息するメッシュがなく、分布はやはり片寄っている。新潟県では他の県に比較して、かなり多くのメッシュで生息、繁殖していることが分った。同県ではアカモズに比べてもかなり多く、ほぼモズの生息メッシュ分布に匹敵するのである。佐渡でも生息の報告があるが、今回の調査では記録されなかった。

 本種が西日本で繁殖した例はないが、今回九州から記録のあったことは、注目に値する。福岡市西区曲渕では2個体の観察報告であるが、延岡市本村の例は、ヘビにより繁殖は失敗に終ったものの、営巣の記録であり、共に今後の精査が望まれる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

21

10

28

59

構 成 比(%)

35.6

16.9

47.5

100.0

 

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