354 シ ロ ガ シ ラ

 ヒヨドリより小さく、ほぼモズと同大で、尾が長く、体形はヒヨドリに似る。頭部は黒く、頬と目の後方から後頭部にかけて白色部がある。背面から尾は暗緑褐色で下面は淡いオリーブ色である。鳴き声はヒヨドリに似てやや音質が高く、フィー、フィー、フィー、キョロロ、フギョッ、フギョッ、などと様々な声を出す。飛翔はヒヨドリ同様波状である。日本には、南部琉球にのみ留鳥として生息している。平地の鳥で、林縁部によく見られ、また人家周辺にも多く訪れ、庭木にミカンなどを刺しておくと、よくやって来て食べる。日本産の亜種の習性などはよく調査されていないが、日本以外の地域のものと大差はないと思われる。台湾産のものでは、4〜6月に樹上に枯草などを集めて営巣し、小斑点の散在する白色の卵を3〜4個産卵する。冬期は群を作り、100羽以上もの群が見られる。非繁殖期もあまり遠方までは移動しないと思われる。昆虫から、果実類まで様々なものを食べる。日本の他、台湾や中国南部などに分布している。

 今回の調査の結果は、わずか3サブメッシュで生息が確認され、その内繁殖確認は与那国島1ケ所だけであった。従来、繁殖が確認されている島は、石垣、西表、小浜、黒島、波照間、与那国の各島である。沖縄本島には、本種は生息しないことになっているが、今回の調査で繁殖の可能性が記録されたのは注目に値する。1976年の1月に沖縄本島南端でシロガシラが記録され、2月には5羽の生息が確認され(比嘉 1976)、その後同地において定着し、分布拡大の気配を見せているので今後の調査結果が期待される。この沖縄本島のシロガシラが昔から生息していたものか、最近になり渡来したものかは不明であるが、過去の記録から見て、最近になって生息するようになったものと考えられる。あまり長距離を移動する鳥ではないので、恐らく、人為的に移されたものか、台風などで飛ばされて来た個体が住みついたのであろう。沖縄本島と八重山列島との間にある宮古島には生息が見られない事実も興味深い。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

1

2

0

3

構 成 比(%)

33.3

66.7

0

100.0

 

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