344 セグロセキレイ

 上面は、頭部から背、肩羽、腰、上尾筒にかけて濃黒色。翼は白色で、風切羽の先は黒い。尾はやや長めで、中央部は黒色、外側の尾羽は白色。顔は黒色で、額から続く眉斑および喉は白色。胸は黒色、腹から脇、下腹、下尾筒は白色。嘴は黒色、脚も黒色。♂♀ほぼ同色、同大。全長210mm。鳴き声は、ツツチーチージョイジョイなどと、やや複雑な囀りをする他、飛翔時などにはジェージェーとも鳴く。日本特産種で、九州以北の平地から山地の渓流、河川、湖沼、水田、湿地、村落などに、留鳥もしくは漂鳥として、普通に生息する。本州中部の富士山麓や北アルプス地方では、標高1,500m以下にすみ、盛夏にもキセキレイのように高山まで漂行することはなく、また厳冬期にもその地に留まり、留鳥性が強い。東京では、河川の中・上流域や支流、その周囲の水田などに生息し、下流、河口、埋立地などにはいない。キセキレイより分布が限られている。

 本種は学者によっては、ハクセキレイの亜種とするが、近年ハクセキレイの個体数の増加、生息域の拡大とともに、両種が繁殖期に同一環境に生息することが多くなり、両種による番形成、交雑の観察記録がでてきた。通常、♂♀で生活し、おもに水辺の地上を歩きながら、昆虫類(カワゲラ、トビケラ、ゴミムシ、ガ、トンボなど)やクモ、カタツムリなどを捕食する。地上では、他のセキレイ類同様、尾を上下に振る動作をする。植物の茎、枯れ葉、細根、樹皮などを用い、水辺の崖地、土手の窪地、川原の石の下、草の根元などに椀形の巣を造る。人家の屋根や高いビルの凹地などにも営巣する。産卵期は、3月中旬〜7月までで、灰白色の地に灰褐色などの小斑が点在する卵を4〜6個産む。11〜13日ぐらいで孵化し、その後14日ぐらいで巣立ちする。

 本種の繁殖分布は、北海道から九州までで、北海道では、海岸、湖沼、河川、渓流の岩場などで繁殖する。本州ではおもに平地から山地にごく普通に生息し、個体数も多い。海岸にも生息するが少ない。四国、九州では、山間部に普通に生息するが、平地、海岸部には少ない。なお、佐渡を除いて島嶼部での繁殖記録は今まで報告されていない。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

282

425

214

921

構 成 比(%)

30.6

46.1

23.2

100.0

 

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