343 ハクセキレイ

 本種は夏羽と冬羽とで違いがあり、夏羽の♂の上面は、頭上から背、肩羽、腰、上尾筒は濃黒色、翼は白色で、風切羽の先端は黒い。尾は長めで、黒色。両外側の尾羽は白い。顔は白色で、黒色の細い過眼線がある。下面は、喉から胸は黒色の大きい三角斑。他の部分は白色。また♀の夏羽は、頭上から腰までと雨覆の一部が灰黒色。他は♂と同色である。嘴は黒色、脚も黒色。♂♀同大。全長210mm。鳴き声は、フィチョー、フィチョーと静かにさえずる他、飛翔時などに、チュチュン、チュチュンとキセキレイに似た声で鳴く。なお本種には、顔に過眼線がなく、冬になっても上面が黒色の別亜種、ホオジロハクセキレイがいる。本種は、従来、北海道と青森県のごく一部に生息し、おもに海岸や河川、湖沼、村落を中心に分布し、山地の渓流や高山にはすんでいなかったが、近年、キセキレイやセグロセキレイの分布域まで生息範囲を広め、個体数も増加する傾向があった。それと同時に、本州での分布も広がり始め、日本海側と太平洋側の海岸線を急速に南下しつつある。また、海岸線で定着した地域では、内陸部にも進出する傾向がある。また、中国地方および九州の日本海側では、別亜種ホオジロハクセキレイが北上しつつあり、近い将来、両亜種の番いも予想される。この現象については中村(1978)が詳しく、両種の分布拡大状況を年代順に追っている。

 通常、繁殖期には♂♀で生活し、おもに地上を歩きながら、昆虫類やクモを捕食する。その際、尾を上下に振る動作をする。海岸や海岸近くの平野部の石垣や岩の間、家屋のすき間などに、植物の茎や枯れ草、細根を用い椀形の巣を造る。産卵期は5月下旬〜7月下旬までで、4〜5個の卵を産む。12〜13日ぐらいで孵化し、その後14〜15日ぐらいで巣立ちする。

 本種の繁殖分布は、北海道から九州までで、北海道では、海岸から山地、市街地など、全域に普通に生息し、個体数も多い。本州では、以前から青森県北部の海岸部では少数繁殖していたが、近年、太平洋側と日本海側の海岸線沿いに分布が広がり、太平洋側は神奈川県平塚、日本海側は石川県の能登半島まで繁殖が確認されている。また栃木県などの内陸部での繁殖もある。中国地方および九州の日本海岸では、別亜種ホオジロハクセキレイが、少数であるが生息、繁殖している。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

138

154

139

431

構 成 比(%)

32.0

35.7

32.3

100.0

 

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