339 イワミセキレイ

 背面はオリーブ灰色で黄白色の眉斑があり、下面は白色で、胸には2条の黒帯があって、翼には幅の広い各2条の白帯と黒帯がある。南樺太、アムール地方からモンゴル、朝鮮、中国北東部に分布し、冬期にはインド、セイロン、東南アジア、中国南部、インドネシアのスマトラ、ジャワ、ボルネオなどに渡る。我国においては、本州、九州、男女群島、伊豆諸島の八丈島、小笠原諸島、北硫黄島、琉球列島の与那国島、南大東島など西日本と琉球列島で稀れに記録されているほか、福岡県で1971年以降繁殖しており、また島根県でも繁殖が知られ、佐賀県では夏期を通じて観察されているという。落葉広葉樹林に生息し、林縁、林間の空地、歩道、河畔などにみられることが多い。樹枝上または地上にいる時は尾を左右に水平に動かし、他のセキレイ類のように上下に振ることはない。樹林内、庭園、粗林、果樹園などの高木の水平に伸びた枝の上に、細い草の茎、枯葉、蘚類、枯草などをクモの糸で綴った椀型の巣をつくる。産座には細根、獣毛などを敷くが、巣の外観は枝とは区別しにくい(山階 1933)。産卵期は4〜7月、一腹の卵数は4卵であり、抱卵は♀が行なうが、育雛は♂♀で行なう。福岡市における繁殖例では、営巣樹はシイ、ヤマモモとミズナラであって、巣は8〜10mの高さにあり、6月上・中旬に育雛が始まっており、7月上旬には再び営巣がみられたが、失敗したため、中旬に再営巣し、育雛がみられた(高野 1971)。

 今回の調査で、Aランクでは3サブメッシュが記録された。すなわち、九州北部、山陰地方の中央部および東部で繁殖が確認されたが、これらの地域はいずれも従来から比較的記録の多い地方であり、現在では本種は九州から山陰地方の日本海側に定着しているといえる。しかし、我国において繁殖するようになったのは、比較的近年のことのようで、繁殖地からみると大陸東部と朝鮮半島から分布が拡大したと想像するのもあながち誤りではないであろう。いずれにせよ、現在では繁殖地が局限されているけれども、今後どのように推移していくか注目する必要があろう。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

3

0

3

6

構 成 比(%)

50.0

0.0

50.0

100.0

 

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