335 ツ   バ   メ

 上面は、額が赤褐色。頭部から背面、肩羽、腰、上尾筒は金属光沢のある藍黒色。翼はやや緑色をおびた藍黒色。尾は金属光沢のある藍黒色で深い燕尾状、羽尾の先端には小さな白斑がある。♂では両最外側の尾羽が長い。下面は、喉が赤褐色、下方に黒帯がある。胸から腹、下尾筒は白色、翼の裏は汚白色。嘴は扁平で黒色。脚は黒褐色。♂♀同色。尾羽の長さが違い、♂全長170mm。♀はそれより小さい。鳴き声は、ビチュビチュチュリリリリ……と複雑な節まわし(土食って虫食ってしぶいとききなす)、チュビッなどとも鳴く。夏鳥として、九州以北の日本全土に渡来し、平地から山地の、村落、町、市街地に多数生息する。通常、♂♀または集団で生活し、田畑、草原、庭園、公園、海岸、湖沼、河川などのあらゆる所の上空で、飛行中の昆虫類(バッタ、アブ、ハエ、カ、ウンカ、トビケラ、トンボなど)を空中で捕食する。巣材の土や草などを取る時以外は地上に降りることはなく、電線などで休止する。飛翔能力は高く、高速飛行、反転など自由にできる。人家または建築物の屋内および屋外の梁や軒先などに、土と草(ワラくずなど)を用いて椀形の巣を造る。帰巣性が強く、毎年同一地方に帰る習性がある。産卵期は、4月下旬〜7月上旬までで、白色の地に赤褐色と淡紫色の微小な斑点のある卵を3〜7個産む。13〜18日ぐらいで孵化し、その後20〜24日ぐらいで巣立ちする。

 本種は近年各地で減少が報じられている。例えば、長野県長野市においては、農薬のヘリコプターによる空中散布が、最も激しく行なわれた地帯から減少しはじめ、逆にその時期に、市街地の繁華街に増えたという。しかしその後、長野市内のほとんどで減少を示しはじめている(山岸 1975)。また東京都では、全般に減少が激しく、光化学スモッグとの相関関係も疑われるようなデータが出されている(東京都公害局 1974)。その他、住宅のアルミサッシ化、モルタル化なども減少の原因の一つと考えられる。

 本種の繁殖分布は、北海道では、道南に多い傾向がある。対馬及び五島列島での繁殖確認は、今回の調査で得られた新しい知見である。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

1,180

409

402

1,991

構 成 比(%)

59.3

20.5

20.2

100.0

 

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