332 ヒ   バ   リ

 上面は、頭部から背面、肩羽、腰、上尾筒は淡赤褐色で、黒色の幅の広い軸斑がある。翼は、風切羽は黒褐色、雨覆羽は茶色に見える。尾は黒褐色で、両最外側羽は白色で、飛ぶと目立つ。また頭には冠羽があり、時にたてることがある。下面は、クリーム色の眉斑、頬の部分は淡赤褐色で、黒色の軸斑がある。喉は淡褐色、胸から脇は淡赤褐色で、胸には黒色の軸斑が多数ある。腹は白色。嘴は暗褐色、脚も暗褐色。♂♀同色、同大。全長170mm。体に比べ翼幅が大きいため、飛翔時には大きく見える。鳴き声は、ピーチュク、ピーチュクチュク、チーチーチー、ビルビル……と複雑な声で長く鳴く。普通、上空で飛びながら鳴くが、地上の枯れ枝、石の上などでも鳴くことがある。留鳥として九州以北の全土に分布し、平地から山地の、畑、草原、荒地、川原、牧場、河原、河口、埋立地など、広くて草のはえているような環境に生息している。北海道や積雪の多い地方の個体は、秋、暖地へ漂行する。通常、♂♀で生活し、地上で歩きながら、タデやエノコログサ、オオバコなど、雑草の種子をおもに食べる。他に昆虫類(コガネムシ、ハムシ、ケラ、バッタなど)やクモも好んで捕食する。繁殖期には、♂は空高く舞い上がり、テリトリー宣言のため、大声で囀る。囀る時間やなわばり内に侵入した他の♂を追い出す回数は、抱卵期に一番多い。草原や河原、畑などの地上に浅い穴を掘り、枯れ草、細い根などを用い、椀形の巣を造る。草類の根元に造る場合が多い。また造巣は♀だけである。産卵期は、3月下旬〜7月下旬までで、灰白色の地に、灰鼠色と暗褐色の微斑が点在する卵を3〜5個産む。11〜12日で孵化し、その後9〜10日ぐらいで巣立ちする。

 本種の繁殖分布は、北海道から九州までの全域で、北海道では平地から山地の全域に、おもに夏鳥として、普通に生息する。今回は記録されなかったが、焼尻島、天売島、モユルリ島でも繁殖している。本州でも、中部以北や山地のものは、夏鳥もしくは漂鳥、中部以南は留鳥として、平地から山地にごく普通に生息する。佐渡では繁殖しているが、今回はその確認にまでいたらなかった。四国、九州でも平地から山地に普通に生息している。個体数は、いずれの地域でも多い。従来、五島列島からの繁殖は知られていなかったが、今回の調査で繁殖が確認された。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

360

650

78

1,088

構 成 比(%)

33.1

59.7

7.2

100.0

 

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