318 ア  リ  ス  イ

 上面は、頭から背、肩羽、腰、上尾筒は灰色で、灰褐色の細かいしま模様がある。また頭央から背面にかけては、黒いたてすじがあり、野外では目立つ。翼は暗褐色で、赤褐色の横しまや黒色の細かい斑などのある複雑な羽色をしている。尾は灰褐色で、黒色と白色からなる横しまが数本ある。下面は、喉が黄色味をおびた淡い赤さび色で、黒色の細い横しまが多数ある。胸から腹にかけては暗クリーム色で、胸には黒色の細い横しまが多数ある。嘴は灰黒色、脚は灰黒色あるいは黄色。♂♀同色、同大。全長175mm。鳴き声はクィクィクィまたはキィキィキィとややモズに似た声で鳴く。夏鳥として、北海道や本州北部の村落や農耕地付近のまばらな林、灌木林、公園、果樹園などに生息する。通常、単独で行動することが多く、村落や田畑付近、林縁部などの、おもに地上から1m以下の低木林などで、他のキツツキ類とは異なり、普通の鳥と同じように止まり、樹木やくさった切株を飛び移りながら昆虫類(アリ、コガネムシなど)やクモなどを捕食する。名前の通り、アリも最も好んで食べる。行動は不活発で、人などに見られるとじっと静止し、首を延ばし、頭上の冠羽を立て、尾羽を上方に扇形に広げ、ヘビが鎌首を立てたような形で威嚇する。営巣は、まばらな林や灌木林、村落付近の樹木のうろや樹幹のさけめ、キツツキ類の古巣穴、時には巣箱などを利用し、その中に直接産卵する。産卵期は6〜7月ごろで、斑紋のない白色の卵を6〜10個産む。おもに♀が抱卵し、12〜14日で孵化し、その後19〜21日ぐらいで巣立ちする。

 本種の繁殖分布は、北海道から本州北部で、北海道では、平地から山地にかけての疎林や林縁部に生息し、各地で割合普通に見かける。礼文島、利尻島、南千島でも繁殖している。南千島では、クナシリ島、シコタン島に生息し、広い灌木林または草の茂った湿原性で、樹洞のある木が疎生するような所で繁殖している(ネチャエフ 1979)。本州では、青森県や岩手県の山地で、少数繁殖している。今回の調査では、従来の記録を裏付ける結果が得られた。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

8

49

11

68

構 成 比(%)

11.8

72.1

16.2

100.0

 

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