314 カ  ワ  セ  ミ

 上面は、頭部および顎線は黒色をおびた緑色で、瑠璃色の美しい横しまがある。背面、肩羽は黒色をおびた緑色で、背面の中央と肩羽のところどころ、および腰、上尾筒は美しい瑠璃色。光線の具合によっては緑色にも見える。翼は黒褐色で、外弁が藍青色である。尾は暗藍青色で短い。下面は、頬および胸から腹、下尾筒、翼の裏は橙黄色。両頸側部には白斑がある。嘴は長く大きく、♂では全体に黒色、♀では下嘴の基半部が赤色で、他は黒色。脚は朱赤色。♂♀は、嘴以外は同色、同大。全長170mm。日本産カワセミ類では、最小種である。鳴き声は、チィーッという鋭い金属音。北海道では夏鳥、本州以南では留鳥として、全国の平地から標高900mくらいまでの河川、湖沼、湿地、水田、小川、防水池、用水などの水辺に生息し、時に海岸や島に生息することもある。近年、ゴミ、汚物、農薬などによる河川、湖沼の汚染、餌となる魚の減少、営巣地となる土手などのコンクリート化、平地、丘陵などの造成などにともなう湖沼の激減などにより、日本各地で、生息域、個体数の減少が報告されている。例えば東京では、戦後まで杉並区や練馬区などでも繁殖していた本種が、1960年頃から急激に減少し、平地・丘陵部から姿を消し、1970年には山地帯である奥多摩近くまで後退したという記録がある。しかし、最近、多摩川を中心に生息域、個体数とも増加している傾向がある。この復活傾向は和歌山県でも報告されている。通常、水辺に生息し、♂♀で生活する。餌はおもに川魚で、他にカエル、水生昆虫なども食べる。採餌方法は、水辺のクイや水草、枝などに止まり、餌を見つけると水面に飛び込み捕食する。養魚場などで採餌する場合もある。また、海辺や島で生活する個体は、海へも飛び込むことが観察されている。水辺の土手や土の崖に、嘴を使って、自力で、直径6〜9cm、深さ50〜100cmぐらいの横穴を掘り、巣とする。水辺から数百m離れた場所に造る場合もある。産卵期は3月上旬〜8月上旬までで、斑紋のない、純白の卵を4〜7個産む。19〜21日で孵化、その後23〜27日ぐらいで巣立ちする。

 本種の繁殖分布は、日本全域で、北海道では、平地から山地の水辺に生息するが、個体数は少ない。本州、四国、九州では、平地から低山の水辺に普通に生息するが、平地では個体数が激減している。従来、佐渡、隠岐でも繁殖記録があるが、今回の調査ではその生息が認められなかった。南西諸島では、奄美大島、徳之島、沖縄本島、宮古島、石垣島、酉表島などで繁殖し、個体数は多いが、今回は沖永良部島以南では、生息を認めたにすぎなかった。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

160

104

185

449

構 成 比(%)

35.6

23.2

41.2

100.0

 

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