312 アカショウビン

 上面は、頭部から背面、肩羽、腰、上尾筒および翼、尾まで褐色をおびた赤色で、背面と肩羽、翼、尾には紫色の光沢があり、腰には青色に光る羽毛がある。下面は、喉から胸、脇、翼の裏面は黄赤色。腹は淡赤褐色をおびた白色。嘴は太くて長く、赤色。脚も赤色。全身が赤色だが、遠目には暗赤色で、森林内にいても意外と目立たない。♂♀同色、同大。全長275mm。鳴き声は、キョロロロロ……と長く、後半は消えいるように鳴き、音質は澄んで美しい。夏鳥として、全国の山地の森林に渡来し、落葉広葉樹や針葉樹、亜熱帯樹林などに生息する。北海道では、標高200m〜600mぐらいの落葉広葉樹の密林やスギの密林などに生息する。本州中部では、標高500m〜900mぐらいの、渓流や湧水池のある森林内に多く、例えば、栃木県塩原では標高500mから1,000mぐらいの落葉広葉樹やスギの密林に多く、群馬県大峰山では、標高800mから1,100mぐらいの落葉広葉樹林内の沼や湿地の近くに生息している。南西諸島でも、同じような環境に多いが、林がないような所にも生息していたり、人家近くの、あまり広くない林に生息する例もある。

 単独または♂♀で生息し、沼や渓流、湿地など近くの枝に止まり、おもに両生類(カエル、イモリ、サンショウウオなど)やザリガニ、カタツムリ、小魚などを、上から襲いかかり、捕食する。南西諸島では、アフリカマイマイも食べている。生息の記録は独特の鳴き声によることが多いが、じっと待っていると、意外と近くで姿を見る場合もある。森林中の樹洞や崖地の洞穴の中、また自力で、土壁や朽ち木に穴を掘り、巣とする。産卵期は6〜7月ごろで、斑紋のない、純白の卵を5〜6個産む。

 本種の繁殖分布は、全国的で、北海道では、おもに道南に多い。本州では、全域に生息するが、日本海側の山地に多く、山形・新潟両県には特に分布域が広い。また、今回の調査で、佐渡には生息ばかりでなく、繁殖の可能性のあることがわかったが、繁殖の確認は得られなかった。四国では、剣山や石鎚山系に生息している。九州では、北・中部にも生息するが、宮崎・鹿児島など南部の県に分布が集中している。南西諸島では、奄美大島、徳之島、沖縄本島、宮古島、石垣島、西表島、与那国島での繁殖またはその可能性がある。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

21

242

35

390

構 成 比(%)

7.0

81.2

11.7

100.0

 

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