310 ヤ マ セ ミ

 上面は、頭部は黒色で、白色の斑が散在し、こまかい白黒のまだら模様に見える。また、頭上から後頭の羽は長く、羽冠状になっている。背面から肩羽、腰、上尾筒は白色で、灰黒色の横しまが多数ある。翼および尾は黒色で、風切羽、雨覆羽、尾羽には白色の横しまが多数ある。上面は全体に、白黒のまだら模様を呈している。下面は、喉、頬は白色で、黒斑状の頬線がある。胸から腹は白色で、黒色のたて斑の幅広い横帯があり、♂のみこの部分が橙褐色である。また、翼の裏面の雨覆羽、腋羽部は♀だけ橙褐色である。嘴は太く長く、全体に灰黒色で、先端部が淡色である。脚は暗緑色。♂♀は胸部および翼の裏面以外は同色、同大。全長375mm。キャラッ、キャラッと大きく鋭い声で鳴き、特に囀は持たない。留鳥として、全国の渓流や湖沼に生息し、特に山地に多い。本州中部の北アルプス地方では、標高800m〜1,500mくらいに生息し、川の上流部の渓流域にすみ、中流以下にはいない。東京では、標高500m以上の川の最上流部に少数生息している。伊豆半島や房総半島などの山地にも普通に分布している。通常、渓流や湖沼付近だけに♂♀で生活し、森林の中にはほとんど入らない。餌は魚(イワナ、ヤマメ、ウグイなど)で、渓流や湖沼ぎわの枝やクイに止まり、水面に魚がくると、上から飛び込んで捕える。川辺、湖沼ぎわの土の崖や土手などに、嘴を使って、自力で、直径8.3cm〜15cmくらい、深さ90〜140cmくらいの横穴を掘り巣とする。産卵期は、5月下旬〜6月上旬ごろで、斑紋のない、純白で球形の卵を4〜7個産む。

 本種の繁殖分布は、北海道から九州までの全土である。北海道では、石狩支庁千歳川上流や同支笏湖(標高248m)、釧路支庁屈斜路湖(標高574m)、阿寒湖(標高419m)など冬期氷結しない湖や渓流などに生息し、分布はやや局地的だが個体数は少なくない。本州、四国、九州では、山地の渓流域に広く生息しているが、個体数は多くない。近年は各地で減少が著しい。なお、本種は島嶼部にはまったく生息していないが、佐渡のCランクは今後の精査を要する。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

104

109

177

390

構 成 比(%)

26.7

27.9

45.4

100.0

 

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