304 ア オ バ ズ ク

 上面は頭から背、肩羽、腰、上尾筒は黒褐色で、額は白色。下面は胸から腹、脇は褐色で各羽の両側の縁は幅広い白色のため、白色の太いたてすじに見える。尾は角尾で暗茶色に暗褐色の幅広い横すじが数条ある。嘴は暗灰色、脚は黄褐色。頭部に耳羽がなく、尾もやや長めのため全体的シルエットはワシタカ類のそれに似る。♂♀同色、同大。全長290mm。鳴き声はホーホー、ホーホーという独特の二声で、夕方から鳴きはじめ、夜中鳴く。夏鳥として渡来し全国の平地から標高1,000mぐらいの、落葉広葉樹林や針葉樹林、人家近くの林、屋敷林、神社・寺の森、街道沿いの杉並木などに生息する。東京では5月上旬ごろ渡来し、市街地の神社、寺、庭園、公園などのちょっとした森や林から、標高1,000m以下の低山帯の森林に広く分布し、普通に生息する。しかし近年、市街地での生息・繁殖が著しく減少した。戦後から1960年ごろまでは都心部の林でも繁殖していたが、それ以降は急激に減少し、現在では旧市内の23区内での繁殖はごく少なくなってしまった(東京都公害局 1974)。また郊外においても、おもに住宅地確保のため雑木林や森林が伐採され、生息地が減少している。

 単独または♂♀で行動し、日中は樹間で休止し、夕方から夜間にかけ採餌行動をする。餌はおもに昆虫類(ガ、コガネムシ、セミなど)。他は小鳥類やコウモリなども捕食する。営巣は巨木の樹洞を利用する場合が多いが、庭石の間や材木の積み重ねたすき間に造ったり、巣箱を利用することもある。産卵期は5〜7月ごろで、斑紋のない純白の卵を3〜5個産む。抱卵は25日ぐらいで、その後28日ぐらいで巣立ちする。

 本種の繁殖分布はほぼ全国的であるが、北海道では個体数は少なく、分布もまばらである。本州でも東北地方では少なく、関東地方以南で個体数が多くなる傾向があり、関東地方以南では平地から低山帯にほぼ普通に生息する。佐渡、隠岐では従来繁殖が記録されていないが、今回の調査で繁殖の可能性が示唆された。四国、九州では普通に繁殖している。今回の調査では記録されなかったが、南西諸島では、宮古島、石垣島、西表島、与那国島、また伊豆諸島では、大島、三宅島、御蔵島、八丈島で繁殖する。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

106

210

29

345

構 成 比(%)

30.7

60.9

8.4

100.0

 

繁殖分布地図索引へ