302 オオコノハズク

 頭部から背面、肩羽、腰、上尾筒は黒褐色で、黒色や灰白色のこまかい斑紋が複雑に入っている。翼は暗褐色で、褐色味をおびた白色の横じまが多数ある。また頭部には、長くて大きな耳羽があり、直立している。後頸には、赤褐色をおびた白色の頸輪がある。尾は暗赤褐色で、不明瞭な暗褐色の幅の広い横帯が多数ある。顔面は、暗赤褐色で、黒色と褐白色との斑点がある。胸から腹、脇は暗褐色で、黒色のたてすじ斑が多数ある。虹彩は橙黄色で、嘴は灰黒色。■蹠、趾ともに羽毛がはえている。♂♀同色でほぼ同大。全長245mm。鳴き声は、ポッポッポッ、またはホッホッホッという低い音で鳴く。キュリーという声も出す。夕方から夜間にかけて鳴く。北日本ではおもに夏鳥、本州中部以南では留鳥または漂鳥として生息し、コノハズクより定着性が強い。夏期は、標高500m〜1,000mぐらいの山地のスギ、ヒノキなどの針葉樹の密生したところに生息し、秋期〜冬期は平地や低山部の森や林に漂行する。東京では、戦前は区部(例えば杉並区)でも周年生息していたが、現在は山地部(奥多摩地域)で、ごく少数繁殖しているに過ぎない。通常、森林内に生息し、昼間は樹間に静止し、夕方から夜間にかけて行動し、小鳥類(メジロ、カワラヒワ、スズメなど)やネズミ類、モグラなどを好んで餌とし、カエルやカニ、昆虫類(バッタ、カマドウマ、ガ、オサムシなど)、クモなども食べる。本種は、夜行性であるためと、鳴き声が目だたないため生息確認が難しい。営巣は、巨木の樹洞をおもに用いるが、時に建築物の軒なども利用することもある。産卵期は、5〜6月ごろで、斑紋のない、純白の卵を4〜5個産む。

 本種の繁殖分布は、北海道から九州までで、北海道では、大木のある森林に生息するが少ない。本州では、平地から山地の大木のある森林に生息、繁殖する。四国、九州でも生息しているが、繁殖例はごく少ない。島嶼部でも、佐渡、伊豆諸島で繁殖例がある。特に伊豆諸島では利島を除き、全島で繁殖しているが、三宅島、御蔵島以外は稀である。本種は前述の通り、目立たない鳥であるため、生息、繁殖記録が少ないが、各地に少数ながら、繁殖していると考えられる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

7

16

2

25

構 成 比(%)

28.0

64.0

8.0

100.0

 

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