299 ト ラ フ ズ ク

 全身黄褐色に黒褐色の縦斑が散在し、腹部は全体に淡く、■蹠、趾は羽毛でおおわれ、虹彩は黄色またはオレンジ色で、長い羽角を有する中型のフクロウである。北アフリカからイギリス、ヨーロッパ、スカンジナビア半島、シベリア、アムール、ウスリー、モンゴル、中国東北部にかけての旧北区北・中部と、北アメリカに広く分布し、冬期には中国南部、インド、イラン、北アフリカ南部などでもみられる。我国においては、北海道の各地、本州の中北部で繁殖することが知られ、冬期には本州、四国、佐渡、九州、種子島、屋久島、伊豆諸島の大島、三宅島、青ケ島、鳥島、北硫黄島、琉球列島の石垣島でも記録されており、中部地方以南では冬鳥である。平地から亜高山帯まで生息するが、平地、丘陵地に多く、針葉樹林や雑木林に生息し、村落内の林にみられることもある。冬期には小群を形成することもある。雑木林や針葉樹林のなかの大木の樹洞内、カラス類、タカ類などやリスの古巣、時には根元の地上に営巣することもあるが、日本では樹洞に営巣することが多く、ヨーロッパでは他の動物の古巣を利用する傾向がある(山階 1941)。巣材はほとんど使用しない。北海道の2巣の例では、広葉樹の防風林にあって、樹高約14mのニセアカシアの高さ約9mのところと樹高約13mのポプラの高さ約7mのところにあり、いずれもカラスの古巣を利用したものであった(松岡 1974)。繁殖期は5〜7月であり、一腹の卵数は3〜7個、2日おきに産卵し、抱卵期間は25〜30日、育雛期間は23〜25日である。ヨーロッパにおける繁殖期はやや早く、3〜4月に産卵する(山階 1941)。また、繁殖期における餌としては、ネズミ類が圧倒的に多い(松岡1974)。

 今回の調査では、北海道と本州で生息が認められた。北海道では道央、道北及び道東で繁殖を確認した。一方、本州では東北地方南部で繁殖が確認され、東海地方東部で繁殖の可能性が示唆された。他の地域における繁殖の可能性はまったくないとはいえないが、繁殖地は本州中部以北の限られた地域であるといえよう。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

7

3

0

10

構 成 比(%)

70.0

30.0

0.0

100.0

 

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