295 ホ ト ト ギ ス

 上面は、頭から背面、肩羽、腰、上尾筒にかけては灰黒色。翼も灰黒色。尾は灰黒色で先端部に近づくほど藍黒色になり、羽軸に沿って白斑が横しま状に点在する。下面は、喉、胸は灰色、腹から脇、下尾筒は白色で、黒色の細い横しまが多数ある。♀には赤色型があり、カッコウのそれと酷似するが、体の上面や喉の黒色の横しまが不明瞭である。嘴は灰黒色。脚は黄色。♂♀同色、同大。全長275mm。鳴き声は、キョッキョ、キョキョキョキョ(テッペンカケタカ、特許許可局とききなしている)という独特の鋭い声で、くり返して鳴き、だんだんテンポを速める。最後にピッピッピッという声を入れる場合もある。夜間も盛んに鳴き、飛行中も鳴く。夏鳥として、山地部の森林へ渡来する。ホトトギス類の中では渡来時期が一番遅い。本州中部の北アルプス地方では、標高2,600m以下の広葉樹林、カラマツ林、アカマツ林、雑木林や亜高山帯のダケカンバなどの落葉広葉樹とシラベ、コメツガなどの針葉樹との混交林に生息する。東京では、標高300m以上の丘陵地から山地にかけて、個体数は多くないが、普通に生息している。通常、森林内に生活し、昆虫の幼虫を好んで食べる。繁殖期には樹梢など目立った所に止まって鳴くこともある。

 営巣は、他のホトトギス類と同じように、自分で巣を造らず、おもにウグイスに托卵する。他にミソサザイ、センダイムシクイ、アオジなど数種の托卵例がある。東京では繁殖期の調査では、その分布はウグイスのそれと、ほぼ一致する(東京都公害局 1979)。産卵期は、6月上旬〜8月下旬で、ウグイスの卵に酷似した卵を、1巣1卵託す。育雛習性等は、他のホトトギス類に似る。

 本種の繁殖分布は、前述の通り仮親の分布に限定されることが考えられるが、おもな仮親であるウグイスは、島嶼部を含む日本全域の低山から高山まで広範囲に生息しているため、本種もほぼ全国に分布している。しかし、北海道では、ウグイスなど仮親が全域に生息しているにもかかわらず、本種の分布は主として南部に限られている。本州では、低山帯から標高3,000mの高山帯まで、ウグイスが分布している範囲では生息し、個体数も多い。四国でも同様のことがいえる。九州では、従来少数繁殖、多数は通過するとされているが、全域に生息しているので、多数繁殖している可能性がある。また、ホトトギス類ではただ一種、島嶼部で繁殖することが知られ、伊豆諸島全域で繁殖している。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

17

1,165

132

1,314

構 成 比(%)

1.3

88.7

10.0

100.0

 

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