293 カ  ッ  コ  ウ

 上面は、頭から背面、肩羽、腰、上尾筒にかけては灰黒色。翼も灰黒色。尾は灰黒色で先端部に近づくほど藍黒色になり、羽軸に沿って白斑が横しま状に点在する。下面は、喉、胸は灰色、腹から脇、下尾筒は白色で、黒色の細い横しまが多数ある。♀は、喉がやや褐色をおびるが、野外ではよく見えない。また、♀には赤色型があり、上面は赤褐色で、黒色の細い横しまがある。下面は淡褐色で、やはり黒色の細い横しまがある。尾は赤褐色で、カギ型の黒帯がある。他は普通型と同じである。嘴は灰黒色。脚は黄色。♂♀同大。翼長350mm。なお幼鳥は、全体に褐色で、喉から腹に黒色の横しまがあり、翼には赤褐色の斑がある。鳴き声は、カッコー、カッコーと明瞭な声で、くり返し鳴く。時にカッカッコーと三音で鳴いたり、争う時にはゴアゴアという声を出したり、ポッピピピピと鳴くこともある。飛行中も鳴く。夜間はほとんど鳴かない。夏鳥として、全国の平地や丘陵、高原の明るい林、耕作地や海岸に近い林や、低木の散在する草原などに渡来する。本州中部の北アルプス地方では、標高1,600m以下に生息する。東京では、標高60〜150mくらいの、緑の多い住宅地や雑木林、造成された広大な墓地などが入り混ったような環境に生息する。ホトトギス類の中では最も標高の低い所に生息する。通常、単独で生活し、昆虫の幼虫を好んで食べる。姿を見ることが多い。繁殖は、他のホトトギス類同様、自分では巣を造らず、おもに本州では、モズ、オオヨシキリ、ホオジロ、アオジに、北海道では、ノビタキ、コヨシキリ、アオジに托卵する。他に、ヒバリ科、セキレイ科、モズ科、ツグミ亜科、ウグイス亜科、ヒタキ亜科、ホオジロ科、アトリ科、カラス科(オナガ)など二十数種にもおよぶ托卵例が記録されている。特にオナガへの托卵は最近になって知られた事実で、1965年に栃木、1971年に青森、1976年に長野、東京で記録されている。産卵期は5月下旬〜8月上旬で、仮親に似た卵を、1巣1卵托卵し、10〜12日で孵化し、その後20〜23日ぐらいで巣立ちする。

 本種の繁殖分布は、全国的で、北海道では、平地から高山まで多数生息する。本州では、中部以北の平地から山地にかけて生息し、個体数が多いが、近畿地方以南、四国、九州では、山地を中心に生息し、個体数は少なくなる。今回の調査でも、ほぼ上記のことが明らかになり、西日本では、生息するメッシュが少なくなっている。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

48

1,116

107

1,271

構 成 比(%)

3.8

87.8

8.4

100.0

 

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