291 ズアカアオバト

 上面は、額は緑色をおびた黄色、頭から背面、肩羽、腰、上尾筒は暗緑色。翼は風切羽は暗灰色、雨覆は暗緑色。尾も暗緑色で、暗黒色の縁がある。下面は、胸は緑色をおびた黄色、腹は緑色である。肩羽はやや赤褐色をおびるくらいで、アオバト♂のように顕著ではない。嘴は黒灰色。脚は赤紫色。♂♀同色、同大。全長350mm。鳴き声は、ポーポーペポーポーといった声で、アオバトよりも節がはっきりしている。なお、本種はズアカ(頭赤)という名が付いているが、頭には赤色部はない。留鳥として、南西諸島のクスノキ、シイ、カシ、タブ、ツバキなどの繁茂する照葉樹や亜熱帯性の密林に生息する。通常、森林内でのみ生活し、林外へ出ることはほとんどない。食性はアオバトに似てシイ、カシの堅果や新芽などの他、特に、クスノキの果実やモミジイチゴの漿果なども好んで食べる。林内の樹上に営巣し、産卵期は5月ごろで、斑紋のない純白の卵を2個産む。繁殖習性については、詳しい観察、調査記録はなく、ほとんどわかっていない。

 本種の繁殖分布は、屋久島から与那国島までであるが、全島には生息していない。奄美大島では、油井岳(960m)湯湾岳(827m)など山中の本種の優占度は、アマミヒヨドリ(21.67%)リュウキュウメジロ(14.86%)に次いで、第3位の11.59%であった(環境庁 1974)。徳之島では、亜熱帯原始林内に生息し、個体数も少なくない。沖縄本島では、与那覇岳の森林内に普通に生息している。石垣島では、於茂登岳やその山麓の、イタジイ、エゴノキ、ハゼなどの樹にツルアダンなどの蔓性植物のからみついたような亜熱帯性の森林内に普通に生息している。石垣島、西表島、与那国島でも、亜熱帯〜熱帯性の広葉樹林内に生息し、個体数も多い。しかし、今回の調査結果ではBランクが全体で27サブメッシュ記録されたが、繁殖確認のAランクは1例も得られなかった。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

0

27

14

41

構 成 比(%)

0.0

65.9

34.1

100.0

 

繁殖分布地図索引へ