290 ア オ バ ト

 上面は♂では、額、頬、喉、頸などは緑黄色、頭上から後頸、腰、上尾筒などは暗緑色。翼は灰黒色で、肩羽の部分が赤褐色がかった暗緑色で、雨覆部は赤褐色。尾は暗緑色で円尾。下面は、胸から腹にかけて緑色をおびた黄色、下腹部になるにつれて、淡黄色〜白色となり、尾の下面は灰白色で、灰色のうろこ模様が顕著である。♀は、ほぼ同色だが、額、前頸、胸の緑色が強く、雨覆部は黄色味をおびた暗緑色である。♂♀とも野外では、全体が緑色に見える。嘴は黒灰色、脚は赤色。♂♀同大。鳴き声はアーオアオ、アーオ、アーオアオ、アー、などと、やや不気味な独特の声で鳴く。森林中では本種は見つけにくく、生息確認は一般にこの鳴き声によることが多い。本種は、完全な森林性の鳥で、北海道では夏鳥、本州以南で留鳥、または漂鳥である。北海道では、おもに標高400m以下の森林に生息し、知床半島、大雪山、阿寒、支笏、小樽などで個体数が多い。本州では、標高1,500m以下の落葉広葉樹や照葉樹の森林に生息している。四国、九州では夏期より冬期の方が個体数が多くなる傾向があり、温暖地ではかなりの群が観察されている。通常、森林の樹枝上で、繁殖期は♂♀で、他の時期では数羽〜数十羽の群で生活し、カシ、シイなどの堅果やサクラ、ナナカマド、ノブドウなどの漿果を餌とする。時に水を飲むため水辺に飛来する以外は、森林から外へは出ない。なお、海岸に出て海水を飲むことも、よく観察されている。営巣は、落葉広葉樹林や照葉樹林、混交林などの樹枝上に、細い樹枝や枯れつるなどを使って、浅い皿形の巣を造る。産卵期は6月ごろで、斑紋のない乳白色の卵を2個産む。

 本種の繁殖分布は、北海道から九州までにわたり、北海道では比較的、数が多く、今回の調査でも、平地から山地にかけて、広く生息していることがわかる。場所によっては、おびただしい数が生息しているという。本州では、生息がかなりまばらになるが、海岸近くに片寄っている傾向がある。しかし、東京の山地部での調査によると、個体数は少ないが、標高500m以上の森林に広く分布しているし、各地の文献等によると、今回記録されていない地域にも生息記録が多くある。四国では、剣山、石鎚山付近に多く生息する。九州では、中部の標高1,000m以上の山地に分布が集中しているが、これも、全域に生息していると思われる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

21

439

129

589

構 成 比(%)

3.6

74.5

21.9

100.0

 

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