288 キ ジ バ ト

 上面は、頭部はぶどう色をおびた灰褐色。背面は赤茶色でうろこ状の模様になっている。翼の風切羽は灰黒色で雨覆はうろこ状。腰から尾にかけては青みがかった灰色。尾は円尾で先端部は灰白色。飛ぶと尾が広がり、白い半円となり目立つ。胸から腹にかけてはぶどう色をおびた灰褐色で、頸側部には青灰色と黒色の横しま模様の斑がある。幼鳥ではこの斑を欠く。嘴は黒鉛色、脚は紫赤色。♂♀同色。同大。全長330mm。鳴き声はデ、デー、ポッーポーと、喉をふくらませながらのどかに鳴く。本種は、北海道から南西諸島までの全国の平地から山地にかけ生息し、北海道では夏鳥、他では留鳥である。おもに標高1,500m以下の森林や田畑、人家などがモザイク状になっているような環境を好み、市街地にも生息している。夏期は普通♂♀で行動し、田畑や草原、芝生地など地上で植物の種子、果実などをついばみ餌とする。

 営巣は森林や雑木林、庭木などの木の枝上に樹枝を荒く組み合わせ、浅い皿形の粗雑な巣を造る。産卵期は周年にわたるが、4月から6月が最盛期で、斑紋のない純白の卵を2個産む。抱卵は15〜16日、その後15〜16日で巣立つ。育雛にはハト科特有のハトミルクを与え、年に2〜3回繁殖する個体もいる。また、繁殖期中は巣近くで独特のディスプレイ飛行をする。従来人里にすんでいても、用心深く、近くでゆっくり観察することができなかったが、近年銃砲による狩猟禁止・制限とともに個体数が増加し、他の鳥が少なくなった市街地でもごく普通に見られるようになり、全国的にも生息数の多い鳥となっている。最近は標高1,500m以上の高山や樹木のごく少ない繁華街の街路樹などでも繁殖するようになった。また、今まで樹木など自然物にしか営巣していなかったが、人工の建築物(鉄骨のアングルの上、戸袋の中など)に造巣する例が、東京、神奈川、京都、大阪から報告されている。沖縄県八重山群島の鳩離島などで集団地上営巣が見られ(環境庁 1974)、本種の環境適応力の大きさが報告されている。以上のことは今回の調査結果でも示され、全国ほとんどのメッシュで生息が確認されている。本種の繁殖分布は、北海道、本州、佐渡、隠岐、四国、九州、対馬、伊豆諸島(大島〜八丈島)、南西諸島である。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

461

1,492

596

2,549

構 成 比(%)

18.1

58.6

23.4

100.0

 

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