286 シ ラ コ バ ト

 上面は、頭部から頸にかけては淡灰褐色、背面から肩羽、腰、上尾筒にかけては灰色がかった黄褐色。後頸部には黒い輪があり、静止時には目立つ。翼の初列風切羽は黒褐色で雨覆羽の灰白色とのコントラストが著しい。尾は長目で、中央の2枚の羽は黄褐色、他は基部が黒色、先端部は白く、飛翔時下から見ると明瞭なパターンとなる。嘴は黒色、脚は紅色。♂♀同色、♀がやや小さい。全長325mm。鳴き声は、クークークッとか、コーコーコッと聞こえ、キジバトより細く優しい感じである。

 本種は、埼玉県越谷市を中心に局地的に生息しているのみで、水田や畑などの耕作地、雑木林、防風林、果樹園、養鶏場などが点在したような、村落地や住宅地に生息している。本種の世界的な分布状態から見て、在来の日本産鳥類ではなく、江戸時代、外国から移入されたと考えられている。本種の生息範囲および個体数は比較的よく調べられていて、4期に分けて説明できる(小杉 1972)。第1期は移入されてから明治維新までで、個体数は増加し、関東一円に分布していた。第2期は明治維新から戦前までで、狩猟などで漸減していった。しかし、越谷に御猟場が設けられ、場内では増え続け、鷹狩用のタカの餌として1930年には1,695羽、1941年には579羽捕えたという記録があり、また1935年頃には、越谷の場所によっては100m2に10〜15羽確認できたという。第3期は戦後から1955年頃までで、濫獲、生息環境破壊で激減し、1948年調査では60羽、1954年では20羽前後になった。第4期はそれ以降現在までで、天然記念物指定などにより、徐々に増加し、1960〜61年調査で約160羽、1968年には580羽、1972年には約1,000羽と記録されている。

 通常、地上で採餌し、植物の種子、実などを主食とし、昆虫類も食べる。雑木林や電線などに止まり休む。営巣は、村落近くのマツ、スギの林や竹薮に、竹や樹木の小枝を使って浅い皿形の巣を造る。

 最近、個体数の増加と共に、人工建築物に営巣する例が増えてきた。産卵期はおもに3月から7月頃だが、2月〜11月まで繁殖記録がある。斑紋のない純白の卵を2個産み、14〜20日で孵化し、独特のハトミルクで育てられ、約3週間で巣立つ。

 本種の繁殖分布は、埼玉県越谷市一帯に限定されていたが、近年個体数の増加とともに、茨城、千葉県にも広がりつつある。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

4

11

3

18

構 成 比(%)

22.2

61.1

16.7

100.0

 

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