274 カンムリウミスズメ

 全長240mm。背面は石板黒色、下面は白色。嘴は灰黒色。頭部は白色で、目を通る太い黒色帯があり、頭に黒色の冠羽をもつ。日本近海特産の鳥で、離島などで繁殖し、冬期は本州沿岸の湾、外洋、岬近くの岩礁の多い海上等に生息する。♂♀または5〜10羽くらいの群れで、海上を泳いだり、巧みに潜水して餌をあさる。潜水時には翼と脚を同時に動かして活発に活動する。餌は小魚類(イカナゴ、イワシ等)を主食とする。海上では体を平にしてかなり高く浮かび、頸を縮めている。飛び立つ時は助走を必要とし、飛翔時には丸い翼を激しく羽ばたいて、海面すれすれを直飛する。常に海上生活をするが、繁殖期には岩礁などに上る。島嶼の海岸や岩礁に集団で繁殖する。岩石のすき間や、砂地や草地の穴などを巣とし、産座には枯れ草を敷く。産卵期は3月〜5月頃で1巣の卵数は1〜2個である。本州、九州などの沿海には冬鳥として11月頃渡来し、翌春の4月頃までとどまる。繁殖地の付近には留鳥として周年とどまる。分布は、北海道、本州、九州、対馬、伊豆諸島、中部琉球(沖縄)。

 今回の調査では、三重県紀伊長島町耳穴島、福岡県筑前沖島、および高知県で繁殖が確認された。その他、静岡県下田沖の神子元島、山口県大津島、伊豆諸島式根島、三宅島、鵜渡根島、福岡県机島、桂島等で繁殖する。また、かつて繁殖記録のあったところとしては、伊豆諸島の大島、神津島、御蔵島、八丈島、鳥島、長崎県長崎港などがある。三重県耳穴島では150〜200羽の成鳥が繁殖するが、昔と較べ個体数は減少しているという。福岡県沖島の繁殖地の個体数も400羽前後と見られる(環境庁 1975)。カンムリウミスズメは天然記念物に指定され、世界的にも日本近海のみに分布する貴重な種であり、今後の調査網の整備によって、繁殖地が確実に把握されることを望む。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

4

0

0

4

構 成 比(%)

100.0

0.0

0.0

100.0

 

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