258 エリグロアジサシ

 中国南部、台湾、マレー、インドシナ半島、ミクロネシア、オーストラリア等に分布し我国では夏鳥として春は5月頃に渡来し、秋は9月頃まで滞在する。馬毛島、奄美諸島、沖縄諸島、先島諸島で繁殖するが数は多くない。大きさはベニアジサシよりいくらか小さく、頭から体の下面は白く、目を通って後頭に及ぶ黒い斑がある。体の上面は淡い灰色である。嘴は細くて黒色、脚も黒っぽい。全体的に白っぽいアジサシである。♂♀同色。翼動はベニアジサシより深く、餌の採り方も水面に斜めにつっ込む事が多い。又鳴声はベニアジサシと良く似ている。海岸近くの岩礁に集団で繁殖する。巣は岩礁上のくぼみを利用する他、岩礁上の草の上にも営巣するが、直接産卵し巣材は使用しない。繁殖場所はベニアジサシと同様な場所の為、コロニー内にベニアジサシ、エリグロアジサシ両種が混っている場合もある。産卵期は6月頃で普通1〜2卵まれに3卵もある。卵の色は灰白色で、暗紫色、暗褐色の斑点が全面にある。餌は動物質で、主に魚類、甲殻類を食べる。本種はベニアジサシと比べて警戒性が弱く、巣や雛の近くへ行ってじっとしていると割合近くでも平気で降りる事が多い。

 今回の調査では馬毛島及び種子島で繁殖が確認された。繁殖の確認は出来なかったが、繁殖の可能性のあるBランクは西表島で、又生息は確認したが、繁殖については何とも言えないCランクは奄美諸島と沖縄諸島とで記録されている。今後の調査により更に新しい知見が得られる可能性は充分あると思われ、保護対策も含めて今後の継続調査が望まれる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

2

2

8

12

構 成 比(%)

16.7

16.7

66.6

100.0

 

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