245 ウ  ミ  ネ  コ

 日本周辺の島で繁殖するもっとも普通の中型のカモメで数は非常に多い。本州中部以南には一年中いるが、冬期北海道や本州北部では数が非常に少なくなってしまう。又台湾、中国南部にも渡る。沿岸の島の岩礁、草原等に集団で繁殖しており、各地で天然記念物に指定されている。ミヤーオ、ミヤーオ又はニアオー、ニアオーとネコの様に鳴くのでウミネコの名がついた。背はオオセグロカモメと同様石板色で嘴は黄色で先端に赤と黒の斑があり、尾の先に黒帯がある。♂♀同色である。青森県の蕪島の例を取って述べると春の2月下旬〜3月中旬頃に渡来し、3月上旬〜4月下旬にかけて小枝や枯草を集めた巣を作り、普通2〜3個の卵を産み稀に4個の卵を産む。5月中旬〜6月上旬にかけて雛が誕生し、あちこちでピーピーという雛の鳴声が聞こえる。卵の孵化率は、およそ70%程度である。孵化後約一週間位は一日中巣の中で親に抱かれて過ごす。この間約半数の雛が死んでしまう。6月中旬〜6月下旬にかけては雛の成長と共にだみ声に変わり、雛を抱いていた親鳥も巣を離れて餌を取りに行く様になる。コロニー内にはそれぞれナワバリがあり、雛がうっかり他のナワバリにまぎれ込んで他の親鳥に殺されてしまう事も多い。雛は親鳥の嘴を下からつつき、しきりに餌をねだる。水生昆虫や小魚及び親鳥がはき出した半ば消化されたものを食べる。7月上旬〜7月下旬にかけてはナワバリ意識がうすれて来る。雛は幼鳥となり、飛び立ちの練習を始める。しかし、その頃は巣を留守にしてカラスに卵をうばわれたりして遅く産んだ卵や雛をかかえている親鳥がまだあちこちに見受けられる。8月上旬〜8月中旬になると、幼鳥は今までの様に親鳥が餌を与えなくなるので親のあとを追って海辺へ飛び出して行く。8月中旬〜8月下旬になると幼鳥が充分飛べる様になり、餌も取れる様になるので親鳥は幼鳥を残してコロニーを去る。親鳥がいなくなると幼鳥だけで群れを作る。8月下旬になると、もうすべての幼鳥は海上に出てコロニーにはウミネコがいなくなる。尚コロニー内に人間が入ろうものなら集団でおそいかかり巣を守る。空からはいっせいにフンのバクダンを落とす等、コロニーを作るアジサシ類等と同様である。

 今回の調査では繁殖確認が18サブメッシュしかなく、充分な調査がなされていない。例えば山形県飛島、島根県経島、和歌山県大島、北海道の天売島、焼尻島等の様に当然繁殖しているはずの所がブランクとなっている。又繁殖の確認は出来なかったが、繁殖の可能性のあるBランクも5ケ所しかない。尚Cランクは54ケ所程あるが、本種はかなり開けた場所で集団で繁殖するので、前述のオオセグロカモメ等と比べると明らかに繁殖の確認のやさしい種類である。それにもかかわらずこの様な結果になったので、今後の調査を早急に行う必要がある。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

18

5

54

77

構 成 比(%)

23.4

6.5

70.1

100.0

 

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