212 イ ソ シ ギ

 北海道、東北地方では夏鳥として春期は4月頃渡来し、秋期は10月頃渡去する。北海道及び本州中部以北で繁殖し、冬期は中国南部、フィリピン、インドに渡去する。大きさはムクドリよりも小さく、およそハマシギ大である。体の上面は灰黒色で、下面からの白色が肩の部分にくい込んでいる。飛ぶと翼上面に白い線が目立つ。♂♀同色である。地上で餌をとりながら、尾を上下に振る習性がある。又飛び方にも特徴があり、浅いはばたきと短い滑翔を交互にし、ちょうどミスジチョウと同様な飛び方をする。飛びながらチーリーリーと細い声で良く鳴く。繁殖期には♂は翼を上下にはげしく羽ばたいてぐるぐる飛び回ったり、翼を上方に上げて地上を走ったり、♀のまわりをぐるぐる回ってディスプレイをする。又木の上に止まったりもする。雛をつれている時とか、付近に巣がある場合には飛び回ってたえず鳴き続けたり、擬傷も行なう。この間に雛は、付近の小石の陰にかくれてしまう。営巣場所は川原、湖沼畔、河畔等の草原、砂地、木がまばらに生えた草地等で巣はヤナギ、ノイバラ等の低木や草の根本のくぼみを巣とし、産座には枯草や枯葉を敷き皿形の巣を作る。産卵期は4月下旬から7月上旬にかけて普通4個の卵を産むが3個、5個の場合もある。卵の色は淡黄褐色、乳白色等で、暗褐色、灰紫色等の大小さまざまの斑点が散在する。孵化した雛はすぐに歩ける。餌は主として昆虫類を食べ、その他に軟体動物、甲殻類、蛛形類等も食べる。

 従来から北海道、本州で繁殖している事が知られている。今回の調査では北海道での繁殖記録が非常に多いのが特徴である。次いで東北地方、関東地方、中部地方の順になっており北に行く程繁殖例が多くなっている。近畿、四国、中国地方では繁殖の確認は出来なかったが、その可能性ありが各所で記録され今後の調査結果が期待される。これに反して九州の福岡県で2例の繁殖が報告されたのが注目される。北海道では平野部、海岸に近い低地以外にも、大雪山周辺、日高山脈近くにもいて、かなり高所にもいる事が、今回の調査で判明した。尚、本州では1,500m以下の上高地、十和田湖、塩原、芦の湖等でも今までに繁殖の記録がある。九州より南では屋久島、沖縄諸島、先島諸島でそれぞれ生息が確認された。どこにでもよくみかける本種は日本で繁殖する、数少ないシギの仲間であり、秋の渡りが他のシギ、チドリより早くなっているので繁殖を終って渡って来た可能性もあり、充分注意する必要がある。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

50

141

157

348

構 成 比(%)

14.4

40.5

45.1

100.0

 

繁殖分布地図索引へ