183 タ  ゲ  リ

 頭上は黒く、後頭部は長い冠毛をもち、背は金属光沢のある緑黒色、下面は白く、上胸には幅の広い金属光沢のある藍黒色帯をもった大型のチドリ類である。旧北区にかなり広く分布し、イギリス、ヨーロッパ、スカンジナビア半島、バイカル地方、アムール、ウスリー、モンゴル、中国北部などで繁殖し、冬期はヨーロッパ、カナリー諸島、北アフリカ、中近東、インド、インドシナ半島、中国南部などに渡る。我国においては、冬期、北海道、本州、佐渡、壱岐、四国、九州、対馬、伊豆諸島の八丈島、小笠原諸島の父島、沖縄本島、宮古島、石垣島、西表島、尖閣諸島、南大東島などでみられるが、1973年に石川県、1974年に新潟県で繁殖が確認された(矢田他 1973、古川他 1975)。繁殖場所は、広い芝地、草地、水田地帯などであり、地上に皿型のくぼみをつくって巣とし、産座には枯草、水草の茎、藻類などを敷く。3月下旬から5月下旬にかけて4〜5卵を産卵するが、一腹の卵数は4卵が多い。抱卵期間は25〜28日、孵化後24〜28時間で巣立ちする。石川、新潟両県における繁殖場所はいずれも広い水田地帯であり、巣は畦のように周囲よりやや高いところにあり、両地域とも初卵日が4月中旬にあるものが多いが、石川県では4月中旬に雛が記録された例もある(矢田他 1973)。なお、冬期には広々とした水田、乾田、沼湿地、池畔、川原、草地、畑地などに、数羽から50羽位までの小群で生息する。

 今回の調査では、新潟県と石川県の6サブメッシュで繁殖が確認された。本種が我国において繁殖することが知られたのは1973年のことであり、我国で繁殖するようになったのはそう古いことではないと推察される。今回の調査結果からみると、本種は明らかに北陸地方に定着したようであり、今後の繁殖の推移に注目すべきであろう。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

6

0

0

6

構 成 比(%)

100.0

0.0

0.0

100.0

 

繁殖分布地図索引へ