173 コ  チ  ド  リ

 北海道、本州、四国、九州の全土に分布し、主に夏鳥であるが、近年本州中部以南では越冬の記録が増加している。3月下旬頃より渡来し、繁殖後11月初旬頃渡去するのが普通である。チドリの仲間では最も小さく、全長160mm程である。顔と胸の黒帯及び目のまわりの黄色のリングが良く目立ち、脚は黄色ないし橙色である。♂♀ほとんど同色である。繁殖期に浅くはばたいて、ぐるぐる回りながらピッピッピッピッピュー、ピュー等とにぎやかに鳴いて飛び回る。地上でも鳴き、普通の鳴声はピウピウ、ピッピッ等の声を出す。本州では1,000m位の場所から海岸の砂浜までで繁殖していて主に海岸の砂地、川原の砂礫地、湖岸、水田に近い埋立地等で繁殖している。シロチドリより更に川の上流で繁殖する。産卵期は4〜7月で、卵数は通常4個の場合が多いが、中には3個、5個の例もある。卵の色は淡黄褐色で、黒褐色又は褐色の微小斑が全面にある。♂♀共に抱卵する。雛は生まれるとまもなく歩ける様になり巣をはなれる。雛の色は地面や石の色とよく似ているので、雛が地面にペタリと伏せてしまうと、すぐ近くにいても気づかない事がある。抱卵中又は近くに雛がいる場合に害敵(人間、イヌ、ヘビ等)が近づくと親はあたかもケガをして飛べないかの様に翼を広げてバタバタ地面をひきずる様に移動し、雛や巣から遠くの方へおびきよせ、安全地帯まで害敵が移動すると急に飛んで行ってしまう擬傷を行なう場合が多い。餌は主として動物質を取り、昆虫類の幼虫、成虫等が主なものである。

 従来から日本全土で繁殖が記録されており、今回の調査でも、予想通り日本全土から繁殖の確認がなされた。島嶼部では佐渡で従来より繁殖が確認されており、今回の調査でもやはり繁殖している事が判った。全国的に分布しているが、関東地方、大阪湾周辺、伊勢湾周辺が特に多い。本種は平野部に多く、多少川の中流の方まで入っている場合もあり、シロチドリより上流で、イカルチドリよりも下流となっており、お互にだぶっているが、シロチドリ、イカルチドリのほぼ中間で繁殖している。本種の場合は数が多い上に、前述した擬傷を行なう事、巣に近づくと警戒して鳴きながら飛び回ったりするので巣の発見は割合簡単である。又繁殖期には良く飛び回って鳴いている上、繁殖場所が見通しの良い場所にあり、なれるとすぐにみつけられる為、今回の調査はかなり精度の良いものと思われる。奄美諸島では繁殖の確認は出来なかったが、繁殖の可能性のあるBランクが記録され今後の調査が待たれる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

167

109

90

366

構 成 比(%)

45.6

29.8

24.6

100.0

 

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