159 ヒ メ ク イ ナ

 北海道、本州中部以北の水田、アシ原等に夏鳥として渡来する。本州中部以南では春秋の渡りの時期に見られる。冬期は中国、インドシナ半島、フィリピン等に渡る。しかしながら鹿児島県の出水では越冬例もある。大きさはスズメより大きく、ムクドリよりは小さい。体色はクイナによく似ているが嘴は短かく、背中には白色の縦斑がある。♂♀よく似た体色をしている。習性はヒクイナによく似ている。又鳴き声もヒクイナに似ているが、それよりも小さいピョッ、ピョッ、ピョッ、ピョ、ピョ、ピョと連続して鳴く。追われてもなかなか飛ばず、草むらやアシ原の中を走って逃げる事が多い。飛ぶ時は足をひきずる様にして低く飛び、あまり長距離は飛ばず、すぐに草むらへ隠れてしまうのが常である。水上を泳ぐ時はバンの様に頭部を前後に振り動かしながら泳ぎ、水中にもぐる事もある。河川、水田、湖沼、沼沢、河畔等の湿地帯に生息し、巣はアシの間、水田のイネ株の間、浮草の上、草類の間等にあり、アシ、イネ、又は水草の葉等を利用して皿形の巣を作る。巣のまわりは草類でおおわれている場合がほとんどである。産卵期は6〜8月で6〜8個の卵を産む。卵の色は黄褐色又は緑褐色の地に黒褐色の雲状斑が全面にある。生まれたばかりの雛は全身黒っぽく、主に動物質を主食としているが、中でも昆虫類が多く、軟体動物や植物の種子等も食べる。

 従来より北海道、本州北部での繁殖例はあるが、クイナに比べて個体数が少なく、又クイナよりも小さく見つけにくいので今回の調査でも、夏期に数ケ所で見つかった程度である。北海道では今回繁殖の確認は出来なかったが、繁殖の可能性のあるBランクが2ケ所あった。一方本州では千葉県夷隅町で繁殖が記録され、石川県の能登半島ではBランクが1ケ所報告された。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

1

3

2

6

構 成 比(%)

16.7

50.0

33.3

100.0

 

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