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 北海道では夏鳥、本州以南では冬鳥として湿地、水田、池等にすむ。クイナ類としては大きい方であるが、キジバトより小さく、すぐにアシの中やしげみに逃げ込んでしまうのでなかなか見る事が出来ない。褐色で地味な色彩であるが、良く見ると嘴は長く、下嘴の赤色と下腹部の白と黒の横縞がよく目立つ。体の割りに趾は長い。尾は短かいが、ビクッビクッと動かす習性がある。飛ぶ事は少ないが、飛ぶ時は足をひきずる様にして首をのばして低く飛び、あまり長距離は飛ばず、すぐ草むらへかくれてしまうのが常である。生息数は従来、少なくなかったが、クイナの好む湿地帯の減少で、近年、姿を見ることが少ない鳥の一つである。生息環境は湖沼、沼沢地、水田、水辺の竹薮、アシやガマの密生する湿地帯に生息する。沼沢、湖沼等湿地帯の草原、アシ原等を営巣地とし、アシ原の中の地面の出ている所、アシの茎や葉の重なつた所等に枯草の葉や茎を積んで皿形の巣を作る。6〜7月にかけて6〜7個の卵を産むが多い時には10卵の場合もある。卵の色は黄褐色で赤褐色と灰青色の小斑が全面に散在する。♂♀共に抱卵し、繁殖期にはキュイキュイキュイと連続的に鋭い声でなき、うなる様な声も出す。生まれた雛は真黒のかたまりの様で足が体に比べて大きい。親がつれ歩いており、餌は動植物共にとり、昆虫類、両生類、魚類、甲殻類や蓼科、禾本科等の種子を食べる。従来から北海道での繁殖記録はあるが、本州では夏期に東北地方、千葉県等で記録があり、1974年には青森県で雛が見つかっており、繁殖している事は確実である。

 今回の調査では、本種の繁殖分布に関する新しい知見は得られなかった。従来の記録にある通り、繁殖の確認は北海道に限られ、6サブメッシュでAランクが記録されている。広いアシ原や湿地帯の為、発見はきわめて困難であるが、北海道ではもっと多く繁殖しているものと思われる。又青森県では2ケ所Bランクがあり、今後東北地方では繁殖の確認が増えるものと思われる。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

6

12

4

22

構 成 比(%)

27.3

54.5

18.2

100.0

 

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