145 ウ  ズ  ラ

 全身約200mm。♂の夏羽では、頭上、後頭は赤錆色の内縁と灰色の外縁があり、クリーム白色の頭央線がある。眼先、耳羽、頬、喉は赤褐色で、クリーム白色の眉斑がある。体上面は全体に赤錆色でクリーム色、黒色、褐色、白色などの細かな斑がある。下面は灰褐色からクリーム色で白色の縦斑がある。♀は喉が白色でクリーム色の縁がある。冬羽では♂は喉と上胸は赤錆白色で、喉の中央には黒色の斑が多少ある。♀では喉は白色である。全体に丸く、尾が短かい。飛行は、極めて早い翼動で低く直線的に飛ぶ。

 北海道の平地、原野など、および本州中部以北の高原や草原に夏鳥として渡来するほか、冬は、暖地の草原に冬鳥として渡来する。標識調査の結果、北海道・青森で繁殖したものは、関東、東海、紀伊、四国の太平洋沿岸の温暖地方で越冬するものが多い。また、九州で見られるものは主として朝鮮から冬鳥として渡来したもので、四国、山陽、東海方面にも移動することが知られている。生息環境は、平地、海岸、高原などの草原、原野で、冬は、水田、河川敷、桑田などに小群又は大群をなしている。クックルクーと地味ではあるが良い声で鳴く。餌は、植物質なかでもイネ科などの種子が多い。動物質では、昆虫類、クモ類などを食べる。

 巣は、低木林、薮の中などの草の根元などにあり、地面を浅く凹ませて作る。産座には枯草を少し敷く。外径10cm、内径8cm、深さ4cm、高さ7cm位である。冬期には大群を作るが、繁殖期には一雄一雌であり、コロニーは作らない。産卵期は5月下旬から9月上旬までで、時に10月の例もある。卵は、淡黄灰色に、暗褐色の大小の斑点が散在する。29×22mm。1腹卵数は7〜12個。時に18個の例もある。抱卵は♀のみが行い、孵化日数は16〜21日。雛は早成性。

 今回の調査では、全国各地より散発的に繁殖の可能性が報告された。九州、四国では、従来繁殖例が記録されていないので、今後の精査を要する。確実な繁殖は、千葉、群馬、福島、北海道だけである。本種は草原に生息し、人や猟犬などに対し、じっと潜伏し、あるいは直線的に飛んでから、地上を走って潜伏するなど、見つけにくく、ゆっくり観察できないので、繁殖の確認が困難な種の一つである。草原、原野といった環境は、開発圧力の最も高い地域である。本種自体の生産性は、決して低くないので、生息環境の確保が大切である。

 

Aランク

Bランク

Cランク

合 計

サブメッシュ数

8

46

14

68

構 成 比(%)

11.8

67.6

20.6

100.0

 

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